参謀note

障がいのある子をとおして考える

親が考える子どもの自立

今回は、奈良県橿原市にある放課後等デイサービス『ポムリエ』に伺い、運営されている李憶水さんにお話を聞きました。来春に小学1年生になる障がいのある子どもたちはそろそろ進学先が決まり、続いて放課後等デイサービスを探している頃だと思います。李さんからは、これからの子どもの成長を親がどのように考えていくべきか、たいへん参考になるお話をたくさん聞かせてもらいました。

 

放課後等デイサービス ポムリエ/運営者 李憶水さん

 

放課後等デイサービスとは

 

平成24年4月に児童福祉法に位置づけられた支援で、幼稚園および大学を除く学校に就学している障がい児に、授業の終了後または休業日に、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与するものとされています。

 

具体的には、支援を必要とする障がいのある子どもに対して、学校や家庭とは異なる時間、空間、人、体験などを通じて、個々の子どもの状況に応じた発達支援を行うことにより、子どもの最善の利益の保障と健全な育成を図るサービスです。また、子どもの地域社会への参加やインクルージョンを進めるため、ほかの定型発達の子どもも含めた集団の中での育ちをできるだけ保障する視点が求められています。厚生労働省の報告によると、2019年4月現在、全国の放課後等デイサービス利用児童数は22万1221人、事業所数は同年1月現在で1万3568カ所となっています。

 

 

認識をそろえる

 

今回、李さんにお話を伺うなかで何度も「自立」という言葉が出てきましたが、「自立」とは何でしょうか。辞書では「他への従属から離れて独り立ちすること。他からの支配や助力を受けずに、存在すること」と書かれていますが、言葉から思いつくものは人それぞれではないでしょうか。李さんは「困ったときに自分で解決できること」も自立ではないかと言います。ポムリエでは、利用児童の家族さんがどのような「自立」を求めているのかを確認し、共通の目標をもつことを大切にされています。

 

子どもの自立を考えるうえで、親として大切なのは、子どもの将来像をもっておくことです。将来像が思い描けていれば、小学生時代をどのように過ごし、どのような「自立」を目指すのかが明確になります。それにより、自分たちが放課後等デイサービスにどのような療育を求めるのかも明らかになり、施設スタッフとも共通認識が得られるようになります。それは中学校以降の進路選択にも大きく影響します。

 

 

進路は後戻りができない

 

子どもの将来像を持てていると、小学校以降の取るべき進路もはっきりします。ところが将来像がないままに、その時の子どもの発達の程度や、ただ家から近いとか、みんなが行くからといった理由で進路を選択すると、後戻りができなくなります。

 

たとえば、小学校は地域の特別支援学級で過ごしていたものの、中学で特別支援学校に進学した場合、高校も特別支援学校高等部に進学する可能性が非常に高くなります。この場合、特別支援学校高等部は高等学校とは定められていないため、中学校後の進路で悩まれる家族さんが多いと李さんは言います。

 

子どもの発達の状況によって将来的に一般就労を考えているのであれば、特別支援学校の中等部を選んだことによってそのまま高等部に進学し、その結果、その一般就労の可能性を狭めてしまうことにもなるのです。つまり、親としては子どもの将来像を明確に持ち、そのためにどのような選択をしていく必要があるのかまで見据えておかなければなりません。

 

障がいのある子どもの進路決定は母親主導となる家庭も多いですが、こうした子どもの将来像を明確にするためには、どちらか片方の親だけが一生懸命考えるのではなく、夫婦でともに考えることが必要です。

 

 

 

子どものサードプレイス

 

李さんのお話でもっとも印象的だったのは、ポムリエは通ってくる子どもたちが社会に出た将来のサポートまで考えて運営されていることです。ポムリエは「学校でも、家でもない、言い過ぎかもしれないけど息抜きができる場所であって、子どもたちのサードプレイス」だと李さんは言います。

 

一般的に、障がいのある子どもたち、その親にとっては、特別支援学校高等部や高等学校を卒業した18歳が、大きな環境の変化になるとされています。特に特別支援学校高等部を卒業した場合、それまでは学校の中で手厚い支援を受け、学校が終わってからは放課後等デイサービスで時間を過ごしてきた生活が、就労継続支援B型や就労移行支援サービスなどを利用した場合、16時や17時には終了するため夕方は早く帰宅します。また、週末も休みとなり、家で過ごす時間が増えます。慣れない作業、それまでの学校とは違う環境の変化により、身体的な不調を来すこともあります。

 

ポムリエは、そうして社会に出た後も気軽に寄ったり、相談に来る子どもたちを受け止める場所でありたいと李さんは言います。そのため、将来的には就労移行支援サービスの展開も視野に入れているそうです。

 

親としては、子どもがどう社会に出て、どこで仕事や生活をするのか、その場所について考えることはありますが、その時に子どもを支えてくれる社会資源は何なのか、手を差し伸べてくれる人は誰なのか、誰の力を貸してもらわなければならないのかという視点を持ち、子どもの頃から環境を整えていく必要性を強く感じることができました。

 

 

放課後等デイサービス ポムリエ
〒634-0006 奈良県橿原市新賀町200-1
http://pomurie.com/

 

参謀/出路賢之介

出路賢之介

この参謀noteの著者:

参謀出路 賢之介

参謀の特長
障がいがある子どもをもったことをきっかけに、同じ障がいをもつ父親のサポートや通園する児童発達センターを中心とした父親の会を立ち上げるなどして活動中。 本業は、編集者として釣り専門出版社で3年、医療系出版社で17年勤務。現在は新規事業として立ち上げたクラウドファンディングサービスに携わっている。
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