参謀note

現場日記

「呉越同舟」にみる、小規模企業経営のこれからの在り方

今般のコロナ禍に至る以前から、私が経営支援策の一環として特に意識している考え方があります。

 

顧客の業種によって使う言葉と伝え方には工夫が必要なのですが、それは、現代版の「呉越同舟」、そして「作り手を増やす」というものです。

 

「呉越同舟」については、特に歴史好きの経営者にとっては既知の話だと思われますが、中国の三国時代(西暦200年前後から280年以前までの時代)の話で、呉と越のような険悪な関係だとしても、船を同じにすれば共通の問題に対して協力しあうという、中国の故事成語です。

 

私個人の考えであることを断りながら、現代版の「呉越同舟」とは、どのような意味として考えているのかについてお伝えさせていただきます。

 

たとえ、業種が違ったとしても、顧客の属性が同じであるならば、店舗や他の経営資源の一部を共にすることが、結果として顧客の心理と行動に対して合理的かつ、優しいことであり、売り手側にとっては経営資源効率の改善が図れるため、自社を成長させる可能性の選択肢として考えられる、というものです。

 

あくまでも例えの話としてですが、スイーツがとても好きな30代、40代の「女性」をターゲットとするケーキ屋の場合、近くに大型の美容院があったとしましょう。その一角において、ケーキ屋の店舗の一部、または全部を同じにすることができた場合、お互いにメリットが生まれる関係が築けそうと思えないでしょうか。

 

例え話ですので、実現性の有無については、ここでは問わないでください。

 

「呉越同舟」の本来の意味するところと比べて、当たらずといえども遠からずと思っていただけるでしょうか。

 

 

 

顧客の行動が変われば、経営の在り方も変わるのは自然なこと

 

新型コロナウイルスによる負の影響を強く受けた事業のこれからの立て直しは、もはや「再生」ではなく、新たな「起業」と呼ぶに等しいものだと感じています。

程度の問題はありますが、Beforeコロナの環境にはもう戻らない、仮に戻るとしても、相当な時間が必要だと考えることが賢明でしょう。

 

なぜそのように言えるのか。

 

おそらくですが、顧客が3密(密閉、密集、密室)を避けようとする意識と行動は、今後も引き続き維持される可能性は高いと考えられます。

 

また、業種や企業規模による違いがあると思われますが、在宅勤務についてもその在り方が模索され、今後も引き続き行われることでしょう。

 

このような環境が定着しそうな、社会的に漂う雰囲気と流れの中では、物理的に人と人との距離が取られ、消費行動の心理や行動範囲の変化も生じるのではないかと考えています。

 

例えば、これまでのような店舗前の行列は分散化され、これまで定着していた顧客までもが、他店へと流れてしまう可能性は十分に考えられます。

 

顧客側は、これまでの慣性的な思考と行動による趣味趣向が止められたことによって、新しい価値を発見しようとする行動に移ることも予想されるでしょう。

そうなると、顧客の求める情報の質が変わることは想像に難くありません。

 

今のこの時こそ「顧客起点」を強く意識し、これまでの業界の慣行や常識にとらわれることなく、顧客の心理と行動の動線を一層リアルに想像し、顧客が本当に求めていることを中心に据えた、店舗や経営の新しいスタイルをデザインすることに挑戦していただきたいと願います。

 

「呉越同舟」は、言葉の持つ意味からして良い例えとして使われることは少ないですが「逆もまた真なり」の姿勢で、都合の良い解釈が必要だと思います。

 

自社のサービスと顧客の豊かな生活との間に、誰を、そして何を加算減算、積算、割り算すれば、自社が取り扱うサービスや商品の「意味付け」を大きく変化させ、顧客を主役とした物語に必須のアイテムとして加担することが可能なのか、そのように考えてみることも面白いのではないでしょうか。

 

この視点、着想をさらに膨らませると「作り手を増やす」ことの意味がより明確になるのですが、この点については紙面の都合上、いつかお伝えできればと思います。

 

変化が起こっていることは何か。

 

これから変化しそうなことは何か。

 

何が変化しないのか。

 

変化に対して得するのはどのような人で、逆にどのような人が損するのか。

 

新型コロナウイルスは愛せる対象では決してありませんが、とはいえ、今後引き続き同じ舟に乗り合わせる関係にあると考えられています。

 

ならば、どのように取り組み扱うか。

脅威としてではなく、機会として考えたいものです。

考える価値はあると思います。

 

今後、環境変化に対応した経営の修正を行うか否かが、明らかな差になることは間違いないと思います。

 

特に小規模企業にとっては、他業界まで巻き込んだ不足を補い合う関係性と「顧客起点」に立脚した非効率を改めることが必要になると考えています。

 

小規模企業の強みは、トップダウンによる意思決定と変わり身の早さです。

 

コロナ禍が、より良い違いを生み出すきっかけになることを願っています。

 

参謀 青木 永一

 

この参謀noteの著者:

参謀青木 永一

参謀の特長
ベルロジック株式会社 代表取締役 経営学修士(MBA)メンバーの中でも、異色の経歴を持つ。 前職は、事業者向け専門の「ナニワの金融屋」であり、30代後半までの15年間の経験の中で、約500社を超える倒産と間近に関わってきた。
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