参謀note

気になる記事との つれづれ対話

発注者側の好業績の陰に、下請け側の犠牲が伴うことの是非

2020/05/28付 日経新聞 12版 34面【社会欄】に、下請法違反 最多8000件と記載された記事がありました。

 

詳しい内容については、記事をご覧になって下さい。

(※日経新聞電子版の記事はこちらからご覧になれます)

 

記事との対話

記事に書かれているような、発注者側のずさんな対応に私が初めて出くわしたのは、遡ること約20年前、当時はまだ金融業に従事し、ノベルティグッズの受注卸売販売を行う顧客の対応を行っていた時のことです。

顧客から聞かされた、発注者側(某大手企業)のあまりにも理不尽な対応に、腹立たしさを感じたことを今でも明確に覚えています。

当該記事に書かれている内容よりも、発注者側のずさんな対応が他にもいくつもあったことを記憶しています。

 

ただし、個人的にですが記事文中の事実には、懐疑的に感じるものもあるのですが、概ねは書かれている内容のとおりであると思います。

 

現在も取引を継続して行っている下請け側は、報告した側の正体がバレることを怖れ、積極的には調査に対して応じにくいことを考慮すると、数字に関しても氷山の一角ではないかと懐疑的になります。

いわゆる、「泣き寝入り」です。

 

ご存じの方も多いと思いますが、中小企業庁の公正取引委員会より毎年、対象を絞ったうえで送られてくる、定期書面調査というものがあり、その中の「親事業者との取引に関する調査」によって、今般の記事のようなデータが発表されます。

 

他に似たものとして「消費税転嫁拒否等に関する調査」というものもあり、こちらは消費税の増税分について価格転嫁を行えているかどうかを調査するものですが、消費税に関する取引実態の記載欄以外に自由記載欄が設けられており、別途不当な扱いを受けている場合は、報告のために記載することが出来ます。

 

どちらも、下請けの中小零細企業側は、自社を匿名にすることも可能で、発注者側を記載して返送します。

きちんと調査してもらうためには、情報提供者の連絡先として、自社の代表者個人名ぐらいは記載して返送することが望ましいと思います。

 

それにしても、違反の数が12年連続で過去最高を更新しているという事実には、驚きと同時に、呆れて開いた口が塞がらないというのが本音です。

 

「働き方改革」の名のもとに、下請け側に対する多くの不正が行われている実態がよく理解できます。

 

細かい内容と数字については、是非とも記事をご覧になっていただきたいと思いますが、一点だけ懐疑的になるのは、下請け側からの一方的な報告の集計であることが予想されるので、その意味において冒頭にも懐疑的とお伝えしました。

 

ですが、大手メーカーなどにお勤めの方は、業界の実態、ファクトとして理解しておくことは必要ではないかと思います。

 

記事に書かれている内容は、この度のコロナ禍においても、同じようなことが私の周りに限った話ではなく、他にも存在しました。

 

下請け側の大変な資金繰りの様子など一切考慮することなく、都合の良い解釈を盾に、支払いが一旦止められるといった内容です。

 

幸いに、迅速な対応による持続化給付金の支給によって、ひとまずは無事に乗り切ることが出来ましたが、一方的に不利になるような取引条件については、今後はしっかりと担当者と向き合い、見直しておきたいところです。

 

 

大企業にお勤めになられている、志の高い方もおられると思います。

日々いろいろな改革に取り組まれていることでしょう。

 

ただし、特に費用面における改革の取り組みには、下請け側の犠牲が伴っている可能性があることを、理解しておいていただきたいと強く思います。

 

この事実を知っておくことは、決して損をすることではありません。

 

下請け側として軽んじられる傾向の強い協力業者が、一方的に犠牲を強いられる改革に価値があるとは思えません。

 

今回の記事の内容が、広く周知され、改善されるきっかけになることを願います。

 

参謀 青木 永一

この参謀noteの著者:

参謀青木 永一

参謀の特長
ベルロジック株式会社 代表取締役 経営学修士(MBA)メンバーの中でも、異色の経歴を持つ。 前職は、事業者向け専門の「ナニワの金融屋」であり、30代後半までの15年間の経験の中で、約500社を超える倒産と間近に関わってきた。
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