参謀note

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本質を見極める思考力こそが、活路をつくる!

2020/5/29付  31面【関西経済】欄、東大阪市で金属加工業を営む、中農製作所社長のインタビュー記事。

 

コロナ禍の影響を受けながらも、業績の下振れ幅が会社全体では10~15%程度の減収にとどまったことの主な理由について伝えてくれています。

2008年のリーマンショックの経験によって、自社の持つ技術の「本質」について改めて考え、そこから得た気付きを応用展開させた、異業種への取引先開拓の成功事例です。

 

詳しい内容については、新聞の記事をご覧になって下さい。

(※日経新聞電子版の記事はこちらからご覧になれます)

異業種開拓でリスク分散

企業経営における必須の課題でもある「リスク分散」を為し得た好事例ではないかと感動し、ここに取り上げさせていただきました。

 

それまで取引していた車部品を取り扱う同業種への「数」に向けた営業開拓ではなく、異業種の半導体部品メーカーであることが非常に興味深いものだと感じました。

 

通常、リスク分散のための多角化経営は、これまでとまったく異なる業界へ参入するものが多く、またそのように認識されているものだと思いますが、その場合は新たな設備投資やそれに伴う資金、異なるスキルを持つ人材などが必要となるため、当然に資金的にも時間的にも、決して少なくない一定量が必要となることはご理解いただけると思います。

最悪の場合は、既に投下した資金と時間を「損」と考え、回収することに躍起になり、さらに資金と時間、そして人を注ぎ込み、肝心な本業にまで影響を及ぼすといった本末転倒な事例は枚挙に暇がありません。

 

博打と一緒の有り様ではないでしょうか。

 

この点、中農製作所は違いました。

異業種には参入しましたが、自社の持つ技術を一新させたわけではなく、自社の持つ技術の意味を抽象化させ、技術自体は変えることなく、応用展開させたといった好事例です。

もちろん、技術の一切が不変ではなかったでしょう。

業界が異なれば当然に製品も異なるので、求められる技術が変わることは予想できます。

 

私が特に面白いと感じたのは、自分たちの技術は金属を細かく繊細に切削する技術であって、車部品を加工することそのものではないと語っていることです。

 

2008年のリーマンショック以前までは、おそらくですが、何の疑いもなく車の部品に使う金属の加工をしていたのだと思います。

 

しかし、危機的状況を前にして、そこから脱するために手元の技術に対して「問い」を立て、そして意味合いとして抽象度の高い「解」を導いた経緯が想像でき、そこに至る経営の苦悩と姿勢に対して非常に共感を得ました。

 

思考の技術が必要となる場面です。

決して惰性的にならず、生き残るための新しい問題を創造することを諦めず、導き出した解に対して実際に挑戦して活路を見出した強者と言えます。

 

技術を絞り込み、顧客を拡大させ分散する。

まさに、相反するものとして考えられる「集中」と「分散」が、意味合いにおいてうまく融合された好実例だと思います。

 

記事の終盤、リーマンショックはカネを起因とした経済に影響を及ぼすものであったけれども、新型コロナウイルスは人の命に影響を及ぼし、交流を遮断させたため、受ける影響の質やインパクトも異なり、そのため打ち手も当然に変わるものだと語っています。

 

本質を見極める思考力は、経営力の「差」となることを改めて確認させていただきました。

 

参謀 青木 永一

この参謀noteの著者:

参謀青木 永一

参謀の特長
ベルロジック株式会社 代表取締役 経営学修士(MBA)メンバーの中でも、異色の経歴を持つ。 前職は、事業者向け専門の「ナニワの金融屋」であり、30代後半までの15年間の経験の中で、約500社を超える倒産と間近に関わってきた。
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