参謀note

気付きの走り書きメモ

悪習慣の蓄積は鈍感を常態化させ、やがて大きな事故に至る

約10年前まで、私は事業主を専門にした融資を取り扱う金融業に従事していました。

当時のまま残している顧客台帳ファイルは数百件に及ぶのですが、その中でも特に印象的なものを選別してつぶさに見返しながら、倒産した企業のほとんどは、倒産するべくして倒産に至ったとつくづく感じます。

その原因は、これまでにニュースなどで報道された工事現場の事故や、テナントビル火災事故などにも通じるものがあり、その事故原因の調査を記録した本やネット上の情報と、倒産していった企業の事情を重ね合わせて見ると、共通したものが多くあることに気付かされます。

 

例えば、

橋脚工事などで使われる、形もその名のとおりのH型鋼材に、リブ(筋交い)の補強を怠ったことで起こる「座屈」といった現象があります。

その他の工事現場でも非常に多い事故原因の一つと書かれているのですが、どのような現象なのかについて私なりの理解をもとに説明をすると、

 

リブ補強がない状態で、H型鋼材の「H」の形を横にすると「エ」の状態になります。横になった状態のH型鋼材の上に同じく、さらにH型鋼材を積み上げていき、橋脚工事のための土台を作ります。

 

「エ」の状態で、縦に立った「I」の部分に負荷がかかり過ぎると、圧縮応力によって土台もろとも潰れる現象、これを「座屈」と呼びます(説明に間違いがあるかも知れませんがご了承ください)。

 

 

このような事故がなぜ避けられなかったのか。

 

原因は、数式を使った計算違いのようなものではありません。

 

書かれている事故調査報告書には、とても笑えない致命的な無知な状態で工事を請け負った事実や、現場監督者の怠惰、さらには現場従事者者の間で「きっと自分が言わずとも、他の誰かが指摘するだろう……」などの自主性を放棄したことなど、これら全てが揃った状態によるものでした。

 

まさに、崩壊するべくして崩壊した、そのように言えるものと思います。

 

「座屈」のような現象とその事故原因は、一般的な企業組織にも置き換えられるものではないでしょうか。

 

心当たりが「ない」とは言えないと思います。

 

無知であることを覆い隠し、そこから逃れるように行った意思決定や馴れ合い的な怠惰、無関心を装う社内環境が蔓延している状態の組織は少なくないでしょう。

 

ご紹介した事故とその原因は一例ですが、そのほかの事故原因の調査結果を読み進めていくと、企業の倒産原因と異なる次元とは思えないものばかりです。

 

悪習慣の蓄積は、鈍感を常態化させ危機意識など遠く及ばなくなることは、私のこれまでの事業再生に携わってきた経験と照らし合わせても確かな事実と言えます。

 

 

少し話は逸れますが、

良い大学を出たとか、どこの一流企業に長く勤めていたなど、そのようなものは経営を継続させるための根拠にはなり得ないとまでは言いませんが、根拠になり得ないことを立証するための題材は枚挙にいとまがありません。

 

自分の無用なプライドに意識が向きだすと、本来の目的を見失うことの好例ではないかと思います。

 

リーダーに必要な条件はいろいろありますが、絶対に外せないものは目的を見失わない執念とそのために必要な臆病さ、そして自主性ではないでしょうか。そこに学歴や経歴がどれほど役立つものなのか、大企業の不祥事を思い返してみると、あまりにも稚拙な出来事が多いことから、私には理解できません。

 

もとい、

改めて顧客台帳ファイルを見返しながら、事故原因の調査結果と重ね合わせることで、現在私が携わる事業再生業務と起業家育成に活かすことができるよう、注力したいと思います。

 

解釈を踏まえ、展開的な知恵にして伝え残すことは私自身だけではなく、小規模企業の経営者にとっても価値になるはずだと、勝手ながらそのように考えています。

 

成功することを夢見るよりも、失敗に備えること。

コントロール可能な行動はどちらか。

 

失敗に備えた経営を心がけることが成功に向けた一歩目だと、私はそのように考えています

 

参謀 青木 永一

この参謀noteの著者:

参謀青木 永一

参謀の特長
ベルロジック株式会社 代表取締役 経営学修士(MBA)メンバーの中でも、異色の経歴を持つ。 前職は、事業者向け専門の「ナニワの金融屋」であり、30代後半までの15年間の経験の中で、約500社を超える倒産と間近に関わってきた。
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