参謀note
気になる記事との つれづれ対話
ニトリが総取り!? 〇〇起点による改革の執念がもたらした成果
ニトリ コロナ禍で強さ
3-5月 営業利益22%増 株価9日続伸
在宅関連ニーズつかむ
(2020/6/26付 日経新聞15面 12版【投資情報】欄より一部抜粋)
(※日経新聞電子版の記事はこちらからご覧になれます)
セブン&アイ・ホールディングスやファーストリテイリングに代表される小売業界が新型コロナウィルスの影響で苦戦する中、ニトリにおいてはこれまでコツコツと顧客起点を見失わずに、整合性を保ちながら重ねてきた様々な改革が連鎖的に功を奏し、業績を押し上げたことが記事に書かれています。
株式市場の評価も高く、年初からの小売業界の日経業種平均伸び率が5%なのに対し、ニトリは21%であることから期待評価の高さがわかります。
予期せぬ新型コロナウィルスの影響は偶発的なものですが、これまでの改革の全ては必然的に仕組まれ、仕掛けられてきたものであることは間違いない事実です。
これらの事実を「大手だから出来たんだ」とか、「結果からならばどのようにも言える」などのようなひがみ根性丸出しの思考停止状態に陥らず、様々な企業の成功や失敗の事例からその本質を見つけようとする姿勢は、経営者の資質が問われるところでしょう。
ニトリの新聞記事に触れて直感的に感じた言葉は、負けないための仕組みづくりと、勝つための仕掛けづくりを執念をもって取り組み続けた成果以外のなにものでもない、これに尽きます。
ブレない「顧客起点」による、ネジや工具を必要としない商品開発や、ブランド力を最大限利用した生活用品が一括購入できる商品の多角化、さらには「置き配」に代表される流通オペレーションの改革など、顧客利便性を過不足なく満たすための施策の連続と、そのことが連鎖して業績に好影響を及ぼしたことが感じる記事でした。
マーケティングミックスの4Pと顧客起点
企業が施策を考える際の伝統的(古典的)なマーケティングの考え方に、4Pというものがあります。
4Pとは何かを説明すると、
- Product(製品)
- Price(価格)
- Place(流通)
- Promotin(広告宣伝)
それぞれの頭文字がPであることから、4Pと表現されます。
これら4つは、一つとして外せない関連し合った施策の組合せであることから「マーケティングミックス」と呼ばれることも多く、それぞれのカタチ、あり方を「顧客起点」から考えた場合、どのようにあることが顧客にとって適切な、過不足のないものとなり得るのかを考える際のフレームワーク(枠組み)です。
詳しい説明は省きます。
ときに、開発者を起点としたものが潜在的な顧客ニーズを掘り起こすこともありますが、これとてやはり、潜在的な意識を掘り起こす鋭角な利用者側の視点があるのだと思います。
しかし、開発者が市場を一切見ることなく独り善がり的に開発を行った場合、高い確率で駄作が生まれることは、これまでの市場から姿を消していった商品の経緯が証明しています。
これから何をどのように考えるべきか
さて、私たち小規模企業が今般のニトリの躍進から何を学ぶべきなのか。
言うは易く行うは難しですが、やはり「顧客起点」に尽きるでしょう。
そのためには、今後の改善の余地を残したとしても、まずはしっかりと「顧客は誰か」が定まっている必要があります。
属性で定めるのか、ニーズで定めるのかなどの選択肢は様々ですが、とにかく私たちの「顧客は誰か」について定まった状態にあることが、その後の戦略が動き出すか否かの違いとなってきます。
定めた顧客が持つと思われる不便や、「それあったらとても助かる」の声が思わず出るようなちょっとした商品の改善などは、徹底した顧客起点によって寄り添い考え続けることが、企業の起点になるべきでしょう。
ただし、それを行うことによるオペレーション上の無理や、スタッフへの負担などの障壁やデメリットの部分をどのように乗り越えるかについては押さえておく必要があります。
企業規模の大小は問題ではありませんし、また競合起点でもありません。
自分の置かれた状況を鑑み、顧客について深く考える姿勢を見失わないことが、未来を創るための確かな打ち手ではないでしょうか。
「顧客起点」に立脚した施策の改善や開発を止まることなく行うことは、業績の改善を必ずしも約束をしませんが、業績を伸ばす企業の条件は「顧客起点」を当然のように備えているものです。
より良い違いを生み出す経営支援のために、私たち参謀リンクスも今一度「顧客起点」の姿勢を問い直し、さらなる実践に励もうと思います。
参謀 青木 永一