参謀note

気になる記事との つれづれ対話

必要以上にダサい作業環境から、明るい未来の発想は生まれるのか?

デートに行ける作業着スーツ

「素人」の発想、支持集める

(2020/07/21付 日経新聞13面 12版 【企業2】欄より)

(※日経新聞電子版の記事はこちらからご覧になれます)

 

ここ数か月の間で、スーツ作業着の宣伝をWeb広告でよく見かけるようになりましたが、ある企業の企画に至るきっかけや、開発の裏側のお話でした。

 

どこかのアパレル会社を取り上げた記事ではないことが興味深く、そのことが逆に斜陽産業と呼ばれて久しく特徴を出しにくいアパレル業界の未来に一つの兆しになるのではないかと考えさせられた記事でした。

 

知的生産を行う場合に最低限必要とされる3つの視点、「What」 「Why」 「How」が短い中にも詰まっている内容です。

 

わずかな負い目を違和感に代えて行動した勇気

 

記事文中で主人公の中村有沙さんは、東大の経済学部を卒業して、その他大勢となりがちな大手企業への就職活動を意識的に避け、当時は人事部もなかった水道会社へ就職。

 

働き始めたばかりの日常的な風景の中で感じた作業着姿の自分へのわずかな負い目を無視せず、違和感として捉えた感性がとても素晴らしいものだと感じさせられました。

 

ひと昔前ならば、男性上司(親方)から「作業着が嫌ならば、仕事なんて辞めてしまえ」と叱られても不思議ではないことでしょう。

 

ですが、女性視点からの「ときめき」の感性を諦めず「デートに着ていける作業着」を具現化させるべく、現場に詳しい方たち(おそらくは多くの男性)と共同で課題を洗い出し、より良い違いの作業着を世に出すまでの執念の物語が綴られています。

 

水道会社の一社員が作業着に感じた不満から、アパレルの業界へと参入。

とても可能性が溢れる話に、私自身も胸が躍りました。

 

 

業界への精通は、衰退を生み出す「はじめの一歩」なのかもしれない

 

「遊び半分で考えた」という、中村さん。

それができる社内環境や、既存製品の延長で考えない(られない)素人特有の強みなどが絡み合った、身近に感じられる成功物語です。

 

とはいえ、既成概念がこびりついたアパレル業界からは、悪意に満ちた評論や罵詈雑言もあり、実現に至るまでは散々だったようです。

 

不思議と、斜陽産業と呼ばれる業界には共通した特徴として、権威と思しき方々による斜陽の立場をわきまえない矛盾した姿勢があるように思えます。

 

過去の延長では打開はないと理解していながら、既成概念に固執して新しい価値観を受け入れようとしない矛盾や、顧客に受け入れられない限り打開がないことを理解していながら、顧客の声を真摯に受け止めない矛盾などです。

 

女性視点の違和感に対して、中村さんが所属する企業側の応援姿勢には、頼もしさを感じさせられました。

 

個人的な意見ですが、私自身も「作業着」には、必要以上のダサさを感じていた一人です。また、作業環境に辟易した経験もあります。

 

学生の頃、人材派遣会社から某大手企業の工場作業員としてアルバイトをしていたのですが、テレビ番組で観た囚人服と一緒だと感じた姿を(業界の方には申しわけないです)、女性の友人にだけは見られたくないと、多感な年ごろゆえに思ったことを憶えています。

 

同じ作業着でも、とび職のニッカポッカなどはとても特徴的で、着ている本人の望みにもきっと合致しているのではないかと思います。

 

事実、ニッカポッカを着たいためにとび職になる方も少なくなく、そのことが仕事に取り組む姿勢にも一定の影響を与えていることを知人から聞いたことがあります。

 

さいごに

 

一日のうち多くの時間を割く仕事なのですから、服装だけではなく、気持ちが晴れる環境に身を置きたいものです。

 

そこに、必要以上にダサいことを推奨しなければならない制約が必要なのでしょうか。

 

人が持つ、潜在的な可能性の力の発揮と一定の相関はありそうです。

 

従業員たちの気持ちが晴れる作業環境の整備について、企業側は投資案件として検討すべきものではないでしょうか。

 

参謀 青木 永一

この参謀noteの著者:

参謀青木 永一

参謀の特長
ベルロジック株式会社 代表取締役 経営学修士(MBA)メンバーの中でも、異色の経歴を持つ。 前職は、事業者向け専門の「ナニワの金融屋」であり、30代後半までの15年間の経験の中で、約500社を超える倒産と間近に関わってきた。
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