参謀note

参謀の本棚

残業禁止

著者/荒木 源  出版/角川文庫
■ザっとあらすじ
 建設業で、横浜でホテル建築の監督業務をしている主人公達。突発的な変更やトラブルに追われ、納期もズラせず、深夜残業や泊まり込みで業務をしても追いつかないなか、「働き方改革」の名の下に残業規制が入る。さぁ、どうする!?という話。
■所感
 中盤から惹きこまれて、面白い本でした。刊行されたばかりで、時代背景も最近(2019年)なので、身近に感じる部分が多い内容となっています。また、終盤の残業に関する(恐らく筆者の考えを代弁?)登場人物達のセリフは考えさせられるものでした。興味を持たれた方は是非ご一読ください。
■残業に対して感じること…
 残業に対して出来る取り組みは、個人・上長・会社によってそれぞれ違うので、この中の一部門だけが解決する・出来る話ではない、というのが私見でした。ただ、多くの企業は(大なり小なり)個人に丸投げなんじゃないかな、とも感じています。みんなで頑張りましょう、があるべき姿なんだろうな、と考えていたのですが、先日下記の記事に遭遇しました。こうやって書いてくれると労働者側としてはスッキリします笑
以下、その記事から気になる内容を抜粋します。
労働生産性とは、実は、システムの問題、ビジネスモデルの問題であり、労働者が頑張ってどうこうなるものではない。もちろん自分の仕事のやり方を見直したり、スキルを高めて生産性を上げたりすることは可能だが、その効果は限定的だ。「労働者が頑張れば、労働生産性が上がる」というのは、「長時間労働して頑張れば、企業の業績が上がる」と考えるのと同じ、単なる精神論だ。むしろ、生産性向上を労働者個人に押しつけている、と言える。そうではなく、仕事の仕組み自体を変えなければ、生産性は上がらないのだ。
サクッと読める割には、考える内容も多い一冊です。特に、管理職の方々は共感する部分も少なくないのでは、と思います。
読書の秋に、是非。
S. Hermann & F. RichterによるPixabayからの画像
参謀 川勝洋輔