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書籍レビュー|ひきこもりを家から出す方法

著者/猫田 佐文  出版/集英社

 

タイトルから、マーケティングの本かと思いきや小説です。ただ、得るものも多く、子育てや仕事にも応用出来そうな内容です。作者自身がひきこもりだったせいか、考え方や説明に説得力があり、良い本でした。

 

 

■ザッとあらすじ
 影山俊治は14歳からひきこもり、10年が経過。ひきこもりを解決するため、その家族と教会のシスターが問題に取り組む…という話。
■主人公は二人
 一人はひきこもり本人、もう一人はその父親。特に、父親の視点で描かれるひきこもった息子との接し方や苦悩は、自分自身が父親という観点からも参考になりました。今から私がひきこもりになることは可能性としては低そうですが、子供たちがそうなる可能性は多いにあります。そのとき、また、ならないために家族としてどう接したらいいか、を考えさせられる一冊でした。
■自信
 人が自信を持つ時は、①達成感を得た時、②承認欲求が満たされた時、とこの本では語られています。精神的に強い人は承認欲求への耐性が強い場合が多く、他人の評価より自分の達成感を重視する。一方、ひきこもりなど自分に自信がない人は達成感より承認欲求を重視する、と。自分に自信がないため、自らの価値観を信じられず、他人の評価に依存して一喜一憂してしまう。確かに、妙に自信あって、他人からの視線を気にしない人っていますよね。そして、人からどう思われるかなんて気にしてないから強いし、しぶとい。周囲は迷惑だったり大変だったりするのですが…。
 ここを解決するにはまず認めてあげること。そうすれば自分の評価に自信が持て、他人から低い評価も気にしなくなる。
 子供が引きこもっている場合も、ココが最初の一歩になるそうです。現状を咎めるのではなく、褒めて、自信をつけること。ただし、無闇やたらに褒めても意味がないし、信頼のある人が自分を褒めてくれる、ということに意味があるので、そのために信頼を得ることが大切になる。
■ひきこもりのゴール
 本著では、ひきこもりのゴールはアルバイトや正社員になることではない、と説いています。そもそも、人がひきこもるのは社会に居場所がないからで、ひきこもり以外でもそういった人はいます。ただ、ひきこもりは特にこれが苦手な人が多いのです。そのため、人と交流して信頼関係を築くことがゴールで、簡単に言うと友達を作ることがそれにあたる、と。確かに…と思うし、特に大人(特に男性)になるほど、友達って作りにくくなるように思います。働いてはいるけど、コミュニティが会社だけ、という人も少なくないだろうし、それが日本から残業がなくならない理由だったりもします。子供に言うことと同じで、どこでも誰とでも仲良くできることが大事なのだろうと感じました。
■共感
 社会を形成する上で最も重要な要素は「共感」。人は共感なしにコミュニティを作りません。例えば、学校は勉強、職場には仕事という共通の目的がありますが、それだけで人は結びつきません。あれが好き、嫌い、そういった趣味嗜好が合った者が集まり、コミュニティを作る、と本著では語られています。
 大人(特に男性)になると友達が出来にくいように感じますが、それも上記が理由な気がします。趣味がなかったり、細分化されていて、他人と共感を得にくかったりするのかな、と。また、会社一筋で肩書きがプライドになってしまい、他者とうまく人間関係を築けない、というのも多そうですが。
Free-PhotosによるPixabayからの画像
要は、いくつになっても素直な気持ちで友達を作ることが大事、ってことですね。サクッと読めるので、オススメです!
参謀 川勝洋輔
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