参謀note

経営と教養のための名言マラソン

グレの名言マラソン Vol.453

速やかに生長するものは早く枯れ、徐々に生長するものは永存する。

(ホーランド アメリカの小説家)

 

高徳な僧に朝廷から贈られる尊称で「大師」という言葉がある。歴史上たくさんの僧侶に送られているが、なかでも有名なのは同じ平安時代に活躍した二人、最澄(伝教大師)と空海(弘法大師)。最澄は、19歳の若さで朝廷から認められる公認の僧侶となり、エリートコースを突っ走る若きスーパースター。7歳年下の空海はコースに乗るため奈良で猛勉強の日々。しかし、空海はこのころ全くの無名の僧侶だった。

 

その後、二人ともが腐敗しきった僧侶の世界に嫌気がさし、すべてを捨てて山にこもって修行生活に入る。

 

天皇が変わり時代も奈良から京都へと変わる。

 

山で修行をしていた二人は再び都会へと降りてきて、プロ野球選手が大リーグを目指したように仏教の本場、唐へと渡る。

 

その時、最澄38歳、空海31歳。

 

最澄は朝廷から認められ通訳付きの招待選手、空海はマイナーリーグから這い上がる選手のように長期滞在が義務付けられての一般渡航だった。ところがここで空海は驚異的な成長を見せることになる。

 

難解なサンスクリット語をすぐに覚え自由に操り、中国の高僧から密教の教えをすべて授かることに成功し、日本では誰も知りえない密教を完璧にマスターする。

 

2年余りの期間を経て空海は日本へ帰国、すでに日本で仏教の第一人者となりスーパースターとして名声を築いていた最澄だが、教えを乞うために空海の弟子になる。

 

最澄に比べると遅咲きの空海だが「大師は弘法に奪われ、太閤は秀吉に奪わる」この格言が表すように、大師と言えば「空海」となるほど、空海は最終的に圧倒的に大きく成長したのだった。

 

なかなか結果が出ず成長も感じられないとしても、正しい努力はある時期に必ず報われるもの。

 

人それぞれに成長の時期があることを信じて、コツコツと努力を続けていきましょう。