参謀note

経営の悩みと処方箋 ~あなたならこの想定問題にどう対応しますか?~

自社の売上の半分以上を占める大口取引先から厳しい値下げ要求がきて断れない状況になったのですが…

今回より始まった新企画ページ「経営の悩みと処方箋  あなたならこの想定問題にどう対応しますか?」、記念すべき第一号です。

皆様の経営力強化のためのトレーニング、ヒントになれば幸いです。

 

さっそく、
本日ご紹介したい想定問題はこちら!

 

 

Twitterアカウント名:Fujimori@元経営者のマッチョマーケター(ストーンウェブ代表 藤森裕治様)より承認をいただき掲載しています。

藤森様のプロフィールなどはコチラ(↓↓↓)よりご覧いただけます。

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▼はじめに一言

 

小規模企業ならではの「あるあるネタ」だけに、きっと苦いご経験を思い出す方も少なくないのでは?と察します。価格だけの競争になると、ただでさえ利益率が低い商品の場合は「やってられるかぁっ!」と、つい叫びたくなりますよね……。その気持ち、わかります。

 

とはいえ、

売上の半分を占める大口取引先からの要求なので「銀行への返済や従業員への給料と家賃、その他の支払いのことを考えると短気を起こすわけにもいかない……」。上からも下からも挟まれる切羽詰まった感覚に陥り、「さて、どうしようか……」と出口の見えない悩みのループに入ってしまうのが現実ではないかと思います。

 

さて、

あなたなら、この想定問題にどう対応しますか?

 

シンキングタイム

 

140文字の制限がある状況で、私が苦し紛れに引用RT(リツイート)したコメントが、こちら(↓)。

 

 

▼リツイート 140文字の背景を手短に解説

 

「自社の売上の半分以上を占める」「厳しい値下げ要求に断れない状況」を踏まえて、事態は一刻を争う場面と想定しました。となると、短絡的な判断と行動は意識的に慎み、何よりも自分がコントロールできる行動の選択肢と優先順位の設計が必要となります(このような場面では特に参謀が必要です)。

 

優先的に考えたいことは、即時的に思いつくだけでも以下の5つ。

 

  • 値下げ要求に至った意図を正しく理解するために、まずは相手側の担当者から事情を窺(うかが)うこと。
  • 窺った事情を整理し、価格と併せた交渉条件となりそうな要素を複数洗い出すこと。
  • (長年?)安定した売上が約束されてきたこれまでの状況を鑑みて、緩んでるはずの経費体質の即時的改善策を断行。
  • 売上額と利益率の低減から予測される、利益とキャッシュ動向の予測。
  • あくまでも最終手段として協力業者に応援依頼することも想定しておき、条件内容の整理と準備。

 

上記内容の一つ一つをしっかりと説明したいのですが、当ページ「参謀note」で許されるボリュームを既に超えてしまっているので、改めて「コラム」の方で取り上げようと思います。

 

とは言え、いくつか抜粋して手短にお伝えすると、

 

小規模企業の場合は特に、技術的要素のような優位性や縁故関係などの特異性がない限り、交渉の中身が「価格」のみでは太刀打ちできません。対策としては、交渉の争点を「散らす」ことが重要です。「散らす」ためには、相手方の担当者から出来るだけ裏に隠れた事情まで窺い、条件交渉のテーブルに並べられる対応可能な要素を多く洗い出すことです。しかし、相手が大手企業の場合ではそう簡単にはいかないでしょう。この点は粘り強い対応が必要です。

 

加えて、

自社の経営安定化のために急ぎたい対策は、利益予測とあわせてキャッシュの枯渇を回避する手立てを講じることです。詳しい説明は別の機会にしますが、値引きが利益に与えるインパクトと、利益とキャッシュフローともに共通した経費削減策の意外な視点、この2点をお伝えし今回の想定問題の第1回目を終えたいと思います。

 

値引きが利益に与えるインパクトを計算してみると・・・

 

この点は言葉で説明するよりも、計算結果をご覧になっていただく方が早いと思います。

 

■Before

売上:100万

仕入:50万

粗利:50万

 

■After(30%の値引き

売上:70万(-30%)

仕入:50万(100%)

粗利:20万(-60%)

※(カッコ内はBeforeとの対比)

 

特に注意してご覧になっていただきたい点は、粗利益率の対比です。売値30%の値引きが与える利益へのインパクトは-60%にも至ります。粗利益後に計上される項目のほぼ全ては費用が占めることから「粗利は商売の基礎」とも言われ、この点を甘く見積もると、いとも簡単に赤字へと転落します(営業外収益、特別利益は考慮していません)。

 

利益とキャッシュフローともに共通した経費削減の意外な視点

 

キャッシュの枯渇を回避する対策としてすぐに思い浮かぶものは、おそらく資金調達だと思います。しかし、交渉などに費やす時間が多く必要となるため、まずは経費削減が利益とキャッシュフロー両面において、手っ取り早く確実な施策であることはご理解いただけると思います。

 

この点、よく見落とされがちな経費削減効果の考え方と評価について、簡潔にお伝えしたいと思います。

 

小規模企業の経営者様には、特にご理解いただきたい視点です。

 

例えば、営業利益率(売上に対する営業利益の割合)10%の企業が涙ぐましい努力の結果、10万円の経費削減に成功したとします。この経費削減効果が持続的的なものであることが望ましいのですが、10万円の経費削減がどれくらいの「売上」に匹敵するものなのか、この点ご理解されているでしょうか。

 

考え方としての計算式は、驚くほど簡単なものです。

 

10万円(経費削減額) ÷ 10%(営業利益率)= 100万円(売上相当額)

 

いかがですか。

書いてしまえば当たり前のことですよね。しかし、この視点が抜けているために直接的に売上を立てる営業と比較して、経費削減に努める従業員の評価が低い場面が散見されるためお伝えしました。

 

今回の想定問題の場合は、大口取引先ですのでこの程度の経費削減対策で済む話ではありませんが、コントロール可能な対策の手を休めないための施策の一つとしてご理解していただければと思います。

 

まだ説明できていない意見の説明を残していますが、ひとまずこれらを踏まえて通常ケースで利益予測が赤字になる場合は取引中断の判断もやむを得ません。このような場合に備えて、常に新規開拓や条件の見直し、無駄な経費削減などに努めていただければと願います。

 

▼おわりに一言

 

「経営」「仕事」「作業」は、段取りが明暗を分けると言っても過言ではありません。「差別化」という言葉自体は簡単でとても便利な言葉ですが、差別化を実現させるためには一朝一夕にして生まれるものでもありません。

 

「常に備えよ」を肝に銘じて経営に挑んでいただきたいと思います。

 

参謀 青木 永一

 

アイデア

 


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