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書籍レビュー|地面師たち

著/新庄 耕  出版社/集英社

 

嘘のようなホントの詐欺事件が元ネタ

 

2017年8月、積水ハウスが土地購入で63億円もの損失が発生する可能性を発表しました。その理由は詐欺師(地面師)に騙されたから。この事件を聞いた時は、現代でそんなことあるのか、とビックリしたのを覚えています。対面で土地売買の契約をするのに、影武者を作って詐欺を働くなんて…。騙す方にも騙される方にも驚いた事件でした。

そんな事件が元になった小説です。どこまで本当かは知るすべがありませんが、詐欺の緊迫感が伝わってくるような内容で面白い内容でした。

土地売買は売主が強い?

 

ここで描かれるような大規模商用土地の売買は、売主がかなり強いのかな、と感じました。東京は既に過密状態で、都心で空いている土地を探すこと自体が困難です。土地を見つけても競合も多く、自然と売主が強くなりそう。本著での地面師たちは、そこにつけ入り、売主の身分証明を巧妙に交わしていきます。「このあと予定があるので、本人確認を早めてくれませんか?」「せっかくあなただから売ろうとしているのに、そんなに信じられないんですか?」とか。大事な契約なのに!?と思いますが、売主が個人であることも多く、売買契約を結ぶまでは売主の機嫌で契約が覆ることもあるようです。…だから、こういう詐欺が成立するのかも。

億単位の大金を支払って、後日改めて所有者に会いに行ったら別人が出てきて話が全く通じない…。考えるだけで恐怖ですね。

 

 

平常心を測る

 

印象的だったのは主人公の拓海がスマートウォッチをつけ、心拍数を確認している姿です。平常心を保つことを重視し、冷静を保とうとしていました。上がっていることを認識したからと言って、冷静になれるわけでもないのですが、常に冷静であろうとする姿は大事だな、と感じました。

 

 

ビジネス小説…というジャンルでもないとは思いますが、まさかと思われるような事件を題材にした小説なので、面白い一冊だと思います。私は面白くて2日程度で一気に読み終えてしまいました。ゴールデンウィーク後半に一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

 

参謀 川勝 洋輔

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