参謀note

経営の悩みと処方箋 ~あなたならこの想定問題にどう対応しますか?~

小さな会社の人材に関する「リスク管理」と「育成」問題の処方箋 ~スタッフが退職したときの人員補充問題~

さっそく、

本日ご紹介したい想定問題はこちら!

 

 

Twitterアカウント名:Fujimori@元経営者のマッチョマーケター(ストーンウェブ代表 藤森裕治様)より承認をいただき掲載しています。

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はじめに一言

 

今月もまた、一人が辞めるんです

 

面接して採用しても、明日から出社という直前になって向こうから電話で断ってくることも、一度や二度じゃありませんから

 

入ったと思ったら、3か月も経たないうちに突然辞めてしまいました

 

事情はそれぞれとして、いずれも私の知る経営者から聞いた言葉です。

 

人が定着せず、慢性的な人の不足に悩む経営者、責任者の方も多いのではないでしょうか。

 

冒頭のツイートのような場合、皆さんならいずれを選択しますか?

また、その理由も考えてみてください。

 

 

私が考えた意見、引用リツイートがこちら(↓)

 

 

小さな会社は「勝つ」よりも「負けない」選択が大事

 

まず、前提として押さえておきたい点は、

  • 余剰人員は不在
  • 急ぎの中途採用が必要
  • AとBの選択は即日同時に

 

以上を踏まえ、私がBを選択した根拠は2つです。

  • 確実性の選択
  • 人は「育てる」ではなく「育つ」

 

以下、根拠について説明します。

 

▼確実性の選択

 

「確実性の選択」を言い換えると、「不確実性の排除」です。

 

不確実性を、広義(こうぎ)のリスクと言います。

「広義」とは少し難しい表現ですが、言葉には広い範囲(=広義)と狭い範囲(=狭義)の2種類の意味があり、その言葉のさす範囲を分けるために使用しているだけです。

 

まさに、選択肢Aのような応募者の第一志望である他者からの合否の結果は、自社ではコントロールできないため不確実と言えます。

 

Aの結果によってBへの回答を変える選択肢はなく、即日同時に結論を示す必要があると仮定し、確実性を担保するためBとしました。

 

また、仮に即日同時に結論を示さないとしても、私ならBを選択します。

 

Aの応募者はBの応募者と比較して早期離職の可能性が大きいのではないか、そう考えてしまうのは私だけでしょうか。

 

もちろん、どのスタッフも理由はそれぞれとして離職する可能性はありますが、ここで伝えたいことは事前に想定される「可能性の大小」であり、「誰もが離職する可能性はある」とする一般論ではありません。

 

Aのように自社を第一志望としない人と、Bのように自社を第一志望とする人との間の離職率に差があるかは不明です。

 

個人的な感覚で、頼りない判断です。

 

この点が、リツイートの最後「恋愛に似ていますね。惚れられる方が幸せになると言いますし」の意味するところです。

 

ちなみに、狭義(きょうぎ)のリスクとは上下の振れ幅の大小のことです。

たとえば、プランAとプランBのいずれかの選択が必要な場合に、上と下の利益幅(損失幅)が大きいほうをリスクが大きい、小さいほうをリスクが小さいと表現します。

 

たとえば、

・100円を得る、もしくは100円を失う

 

・10万円を得る、もしくは10万円を失う

 

それぞれの場合では、意思決定に違いが生じますよね。

 

どちらの選択が「良い」「悪い」ではなく、選ぶ人の目的や置かれた状況、リスクの許容範囲の違いなどによってそれぞれ意思決定が異なる、それだけのことです。

 

2種類のリスク、ご理解いただけたでしょうか。

 

以上が、根拠の1つ目「確実性の選択」に対する説明でした。

 

 

▼人は「育てる」ではなく「育つ」

 

根拠の2つ目について説明します。

 

経営資源の三大要素、ヒト・モノ・カネの中で教育によって育つ資源は、ヒトだけです。

 

応募者Bの能力は普通とのことですが、何をもって普通とするかはさて置き、この点に不足があるとは思えません。

 

自社を第一志望とした理由は是非尋ねたいところですが、一般的には自宅から近く通いやすい、雇用条件が合っているなどが考えられます。いずれにしても、第一志望であることは共に働くスタッフにとっても、受け入れやすい条件ではないでしょうか。

 

ところで、唐突ですが質問させてください。

 

あなたは、人は「育てる」、または「育つ」のどちらと考えますか?

それはなぜですか?

 

ご自身なりの考えを、深く掘り下げてみてください。

 

 

さまざまな意見があることを踏まえたうえで、個人的には「育つ」と考えています。

 

「育てる」の意見の裏側には、「育てられた」ことへの感謝があるのでしょう。

 

厳しくも優しく仕事を教えてくれた上司への感謝や、「こんな人にはなりたくない」のような反面教師的な嫌悪の記憶です。

 

つまり、人を「育てる」とは自分自身の「育てられた」経験をもとにした記憶の再生であり、その再生映像を相手に投影し、自分の理想を実現させようとする行為であると考えています。

 

理想の再生映像の再現がうまくいかない場合、自分の不手際や不都合に蓋(ふた)をし、「あいつは見込みがない」などのような、短絡的な烙印を押すハラスメントが生じる可能性があり、危険が伴います。

 

ならば、「育つ」ためにどのようにすればいいのか。

 

簡潔に述べるなら、携わる仕事において相手を主人公にさせることです。

 

少し補足説明を加えます。

組織で働く人の行動は、組織の戦略に従うことが求められます。となると、必然的に戦略の理解が必要になります。

 

戦略とは、目標に対する計画と行動を「適宜」最適化させること。

 

全体的な計画図を俯瞰し、育成対象となる本人が携わる業務の位置と意味を理解させ納得を得ること。そして、具体的な目標や期待を確認し合ったうえで相手を主人公にさせることです。

 

対象となる本人が納得するまでの過程には、説明と理解が必要です。

 

この「説明」が、主人公にさせるための導きであり、育成担当側の責任と義務ではないでしょうか。

 

説明とは、相手が自分ごと化して捉えられるための取り組みのことです。さらに、理解とは相手が説明の理屈を受け入れることであり、納得とは理屈に対して感情が結び付いた状態のことを指します。

 

ここで気を付けておきたいことは、「説明」は育成者側の責任と義務ですが、「理解」と「納得」は相手側の判断に委ねられることです。なので説明でつまずくと、理解はされたとしても納得に至らず、相手の「育つ」機会を失わせることになりかねません。

 

「説明責任」の言葉に代表されるように、一般的に説明には責任が生じますが、理解や納得は責任を問われる性質にないため、説明する側は確認と合意を得ることを怠らないことが賢明でしょう。

 

最後に「育つ」とする主張において、説明と主人公になることの間に強い関係性があることをお伝えして終わります。

 

キーワードは没入感です。

たとえば、歴史の授業で年表の暗記などは退屈だったのに、人物の意外な物語の説明を受けた途端、強い興味が湧き起こり没入した経験はありませんか。

 

また、数学の授業では「何がわからないのかさえもわからない」状態だったのに、かゆい所に手が届く上手な説明を受けた途端、興味や探求心が湧き起こり没入した経験はありませんか。

 

いずれも、説明によって意味を理解し「楽しいは好きに勝る」の体現ともいえる、没入が自走を助ける身近な事例です。

 

つまり、育成者側の「説明」が「主人公」にさせるカギを握るということです。

 

ご理解していただける説明になっているでしょうか。

 

おわりに一言

 

人材育成のための教育が、場当たり的に行われていませんか?

 

属人的で不確実な「育てる」ではなく、「育つ」ための環境と機会のマネジメントが必要です。この点についての自論は、改めて機会を設け述べたいと思います。

 

以上の考えが、小さな会社のリスク管理、ひいては負けない会社を目指す一助になれば幸いです。

 

参謀 青木 永一


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