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書籍レビュー|アイデアのつくり方

著/ジェームス W.ヤング  出版/CCCメディアハウス

 

 

アイデア発想の名著と呼ばれる本で、30-60分程度で読める本です。シンプルな内容ですが、実はやり切るのは結構大変です。これを読むと、アイデアを出すのも地道な作業と根気よく考え続ける作業が必要なのだということを痛感させられます。

 

また、アイデアやイノベーションで最近話題なのが「進化思考」です。こちらも近々紹介をしたいと思いますが、切り取り方の違いである程度似た内容に近いように感じます。

 

■アイデア作成の原理

本著では、アイデア作成の原理として以下の二つを挙げています。

  •  アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ
  •  既存の要素を新しい一つに組み合わせること

つまり、ゼロから何かを思いつくのではなく、既存のものを結び付けて新しい着想を得ていく、ということです。一見、関連がなさそう見える事実から関連性や類似性を見つけ、新しいアイデアを生み出していく作業になります。これは、「進化思考」で紹介されている「適応」に近いもので、アイデアを出す方向性にあたりをつけるということですね。

 

とはいえ、既存の要素と言われても範囲が広くて何から考えていいか分からいにくいかと思います。そこについては、下記のように説明されています。

 

1.情報の収集

…二種類の資料を集める。

①その製品と消費者に関するもの

②人生全般に関するもの

 

2.資料の咀嚼

…その資料から思いつく要素を抜き出す。また分類しやすくするための項目を作り、項目ごとに要素を記入していく。

 

3.アイデアの書き出し

…突飛なものや不完全なものをたくさん書き留める。ここまでを徹底して行う。「進化思考」での「変異」を参考にして発想を飛躍させる。

 

4.発見の瞬間

…問題を一旦横に置き、別なことに心を移す。別なことに目を向けることでひらめきが出やすくなる(ハズ)。

 

5.アイデアのチェック

…第三者のフィードバックを得て、アイデアの精度を高める。

 

 

私としては、特に重要なものとして「5.アイデアのチェック」を感じます。自分が出したアイデアなので愛着はありますが、自分のアイデアだけではまだ粗くて使えません。そのアイデアの精度を高めるには、他人からのフィードバックを通じて、客観的な視点を入れて改善をしていく必要があります。また、ここで難しいのは、フィードバックをもらう人の選定です。指摘が甘過ぎても精度を高められないのも問題ですが、辛過ぎて磨けば光るアイデアを潰してしまうのも良くありません。人選は難しいですが、適切な意見をくれる人を見つけて、アイデアをブラッシュアップさせていく必要があるのだろうと感じます。

 

アイデアの出し方については、色々な書籍が出ており、様々なアプローチが紹介されています。人それぞれの方法があるのだろうと思いますが、どこから手をつけていいか分からない!という方は、今回ご紹介する「アイデアの出し方」そして、今度ご紹介する「進化思考」を読んでみるとよいと思います。

 

参謀 川勝 洋輔