参謀note

現場日記

「理想」と「現状」の差分を理解しなければ、未来への方向と力量は定まらない

とある経営者との話です。

 

経営が立ち行かなくなった場面で、自分がこれほどまでにも弱るものなのか、という自己の発見があったようです。

 

事業再生の現場では、そのような声と表情に立ち会うことが多く、それでも家族や知人の前では気丈に演じる姿をそばで拝見していて、胸が痛くなるほど心情が理解ができます。なぜならば、かくいう私も2013年に目の前が真っ暗になる状況に陥ったからです。

 

しかしながら、今振り返って思うことは、私はひとつ「幸せ」になれたのではないかと思うのです。

 

それはなぜか。

 

不甲斐ない自分の姿を知ることができた、出会えた意味においてそのように感じています。

 

自分自身を知るというのは、他者との比較のような稚拙なものではなく、まだ知り得ていない自分を発見、そして自覚することであり、これは非常に重要なことだと思うのです。

 

弱ったときにはじめて自分の真の実力を知り、そして真価として試される底力を知ることが出来ます。

 

小規模企業の再生の現場では、多くの場合資金の枯渇よりも、むしろ事業継続の活力が枯渇すると一気に危険度が増します。事業規模は縮小させることで身軽になることから持久力が得られますが、活力の枯渇は共に走るための気力そのものに赤信号が点滅するので、伴走する際に非常に気を配るところです。

 

人員を整理することの影響もあり、小さな受注案件からまずは確実に済ませ、これまでの大きな受注案件はひとまず他社へ任せることで、何にも優先して資金支出の「額」を減少させることが肝心となります。

税金の支払いの関係もあるので、無計画に受注を増加させることもできません。

 

「率」を鑑み、健全な財務体質の構築が急務となります。

 

同時に、ずさんになっていた債権管理をしっかりと行うこと。

資金の収支を日ごとで管理を行うこと。

従業員によく話しかけること。

どうありたいかを考えることをやめないこと。

 

何よりも、常に経営の状態を俯瞰することです。

 

渦中において、ようやく理解してもらえることがあります。

 

それは、業務作業と経営は別であるということ。

 

とは言え、小規模企業にとっては、とても難しいところです。

 

すべての小規模企業の経営者に願い、理解してもらいたいことは、経験と勘と度胸とどんぶり勘定(K2D2)「だけ」に頼った経営では、今の状態を正確に理解できるはずがないということです。

 

現在地を正確に理解せずに、漕ぐ舟が目的地にたどり着くことなどありません。

 

まずは「今」の状態を俯瞰し、正しく認識していただきたいと思います。

それが、はじめの一歩です。

 

参謀 青木 永一

 

この参謀noteの著者:

参謀青木 永一

参謀の特長
ベルロジック株式会社 代表取締役 経営学修士(MBA)メンバーの中でも、異色の経歴を持つ。 前職は、事業者向け専門の「ナニワの金融屋」であり、30代後半までの15年間の経験の中で、約500社を超える倒産と間近に関わってきた。
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