参謀note

現場日記

経営者が戦略的に経営に取り組むとき、現場と参謀の役割が生まれる

経営の取組みにおける現場とは、各人の取り組みの数だけあり、人の責任と義務、そしてエゴで入り混じり渦巻いて、個人の視力だけではその数は到底認識することはできません。

様々な様相の現場をかき集めることで、傾向としての類似点は見つけられるかも知れませんが、同じ状態の現場はこの世の中に一つとして見つかることはないでしょう。

 

ある経営者が、人の話や知識に対して言葉にする「現場ではそのようなことは通じない」とする類は、ある側面においては本当のことだと思います。しかし一方で、別の経営者によれば「今の不足に対して非常に参考になる考えなので、さっそく現場に持ち帰り活かせるように挑戦してみます」と言い残し、試行錯誤のすえに功を奏した、このような話も事実として存在します。

 

両者の違いは、経営課題に対する認識と取り組む態度の差です。このことを自覚せず「使えない」と一刀両断することは、自身の単細胞的な思考と経営の実態を覆い隠す目的に合致しているのだと思います。

 

「現場」とは、作業に追われた視野狭窄に陥った人が発する言葉ではないと考えています。混沌さの中でもがく自分の姿を「現場」と定義するにはあまりにもおこがましく、あまりにも部分的であり、一時の状態に囚われたとても稚拙なものではないかと考えています。言うなれば、小さな箱の片隅で起こっている現象のことであり、それは経営でもなければ現場でもなく、全体を捉えることができていません。さらには、マネジメント不全の無自覚を主張する、個人の思い込みにしか過ぎないとも言えます。

 

少し言葉が厳しいかもしれません。

過去の倒産した経営者たちの経営の実態と顔を思い返すと、つい言葉が過ぎてしまいます。

 

視座の高さを持って全体を俯瞰し、自分に問いかけてみてください。

現在値はどこで、これからどこへ向かおうとしているのか、と。

 

戦略と意思ある歩みの道中では、必ず大きな壁が立ちはだかります。そのときに課題に取り組む場と人の姿をして「現場」と呼ぶに相応しいのではないでしょうか。

 

日々現場で、課題解決に励む経営者と知見を持ち寄り討議することで、「その手があったか!」と膝打つ姿に至らせることが、私たち参謀リンクスの果たす使命であり約束です。

 

参謀 青木 永一