参謀note
小規模事業者へのメッセージ
「管理」とは何であり、何ではないか
毎年のことではありますが、年末近くになると取引先と銀行の最終営業日のズレや年末の雰囲気に巻かれて、売掛金の未入金問題や支払いの未払い工作が多発的に湧きます。
焦りに煽られて、ようやく管理らしき行動を起こす経営者が多いのですが、年末となると、さすがに行動の選択肢はありません。
不思議なことは、そのようなことを何年も繰り返していることです。
人間の性、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」なのでしょう。
売上は、回収まで行って初めて「立てた」と言うものです。
回収を終えて初めて、取引先への正しい疑いの目を休めるものです。
回収をしっかりと行うには、常日頃の管理のルーティン化が必要になります。
しかしながら、管理とは何を指すものなのかを知らない企業も少なくなく、そんな無知と怠惰を、倒産の種蒔きと呼ぶのではないでしょうか。
「支払うつもりはない」
「支払いたくてもできない」
「支払いの条件を満たしていない」
この類いの話は、いずれも事態が起こってからの結果論ではありますが、果たして取引先を正しく疑う「管理」について、これまで怠惰や惰性が蔓延していた事実はないでしょうか。
私が過去に金融屋で徹底的な回収を日常的に行ってきた経験は、常に健全な不安を持ち、常に健全な取引先を疑う意識と姿勢、視点を持つことに役立っています。
経営とは、そのように人に言えないグレーな姿勢、実態の裏側に陰が含まれているものではないでしょうか。
私はそのような立体的な姿勢があることを、健全な経営と呼ぶに相応しいと考えています。
その姿勢の先には、
「あの話はどうなっている?」
「あのとき、取引先は何を話していた?」
「当社への支払いに対する優先順位は低く見られていないか?」
などの、もしものときに備えた「先手」が考えられるのではないでしょうか。
管理とは「後手」を生み出すものではありません。
自分の苦手を自覚し、何を自分で行い、何をアウトソーシング(外注)するか。
経営を健全に行うためには、不足を積極果敢に補う必要があります。
参謀を備える必要性に気付きはじめた小規模企業が、少しずつですが増えてきています。
経営者の主観を補い、徹底した管理によって先手を考える責任を果たし、「その手があったか!」を共創する参謀として努めたいと思います。
参謀 青木永一