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書籍レビュー|業務改善の問題地図

著/沢渡あまね・本山文菜  出版/技術評論社

 

■読みやすい「運用」の本

タイトルは「業務改善の問題地図」ですが、「運用」がメインの本です。業務改善に限らず、何かを導入しようとしている人、したけど上手くいってない人にはオススメの一冊です。

作者は以前に紹介をした「ドラクエに学ぶチームマネジメント」の沢渡あまねさん。読みやすい内容かつ、ドラクエの匂いがここでもほんのり漂ってきて、ドラクエ好きには嬉しい一冊です。

 

■制度と運用

制度→ルールを作るの話

運用→作ったルールをどう使うかの話

 

多くの組織でも制度設計までは行いますが、それ以降の運用はノータッチ…というところが多いのではないでしょうか。ただ、そこが大事で難しいところです。「新しい制度を作ったから、みんな従いましょう。」では人は動きません。どうしたら組織の人たちが動きやすいかを考えないといけないのですが、それが難しい。ルールを作るより遥かに…。抵抗勢力に阻まれたり、みな知らんぷりだったり、様々な障壁が立ちはだかり、旗振り役も心が折れてしまいます。そこに焦点をあて、何が障壁となるのかが書かれており、実用的な内容でした。

「残業学」の中原先生も先日「制度2割運用8割」としてブログを挙げていましたが、そちらも是非ご参照ください。)

 

■運用を阻む六つの問題

少し表現を変えていますが、下記が目次となっており、運用を阻んでいる六つの課題として挙げられています。

  1. 各階層、部署で問題意識がバラバラ
  2. 皆が他人事(無力感)
  3. 中間管理職からの圧力
  4. システムを導入しても問題は一気に解決しない
  5. 社内の抵抗勢力
  6. 三日坊主

この中で特に印象に残ったのは五番目の抵抗勢力でした。どの世界にも抵抗勢力はいますが、本著ではその抵抗勢力を五種類に分類しています。それぞれの対策までは書かれていませんが、分類が出来たら対策も立てやすくなるのではないかと思います。また抵抗勢力達がマッピングされ、どの順に攻略していくかという視点についても語られていて、取り組みやすそうでした。

 

運用はとても難しい話ですし、作った制度が浸透するのも時間のかかる話です。気負い過ぎずに、負担を少なくしながらやっていくためにも、運用の問題に直面している人にはオススメな一冊です。

 

 

参謀 川勝 洋輔