- 参謀の特長
- 人材サービスのベンチャー企業において、企業法務を中心に経営管理業務を行う。企業法務だけにとどまらず、社内の管理体制の構築に従事。
コラム
参謀 岡田 将士
どうやって真因を発見する? -「分」けると「解」かる-
「今月の売上は、昨年の同月と比べて1.5倍だった!」
「今月の売上は、前月と比べて70%まで落ち込んだ…」
このような文章を見たり聞いたりしたことはないでしょうか?
さて、
「なぜ1.5倍だったのか?」
「なぜ70%まで落ち込んだのか?」
という問いに対して、みなさんはどのようにして向き合いますか?
今回は向き合い方の基本をお伝えします。
真因を発見するには?
まず、「今月の売上は、昨年の同月と比べて1.5倍だったのはなぜか?」という問いを、考えてみましょう。
例えば、皆さんがコンビニエンスストア(以下、コンビニ)を経営してる、と仮定します。
ケース:コンビニ経営
皆さんは住宅街にあるコンビニを運営しています。
皆さんのお店には、おにぎりやパンなどの食料品をはじめ、日用品やお酒や雑誌など、様々な商品を取り揃えています。
ここ2、3年で近隣に競合のコンビニ出店が相次ぎ、激しい競争環境にさらされています。
そのため、店舗の経営は芳(かんば)しくありません。
そのような中、今月の売り上げを確認したところ、昨年同月の売上に比べて1.5倍に伸びていたのです。
このような良い結果は、「去年より伸びた!」「やった!」だけで済ますと非常にもったいないものです。
なぜなら、「良い結果だったのはなぜか」を考え、その要因をつかむことができれば、今後に活かせられるからです。
そこで皆さんは
「今月の売上は、昨年同月と比べて1.5倍だったのはなぜか?」
という問いを考えることにしました。
さて、この問いに対して、どのような答えが思い浮かびましたか?
少し考えてみてください。
・昨年よりもお酒の販売数が増えたから
・今年に入って消費増税のために値上げをしたから
・景気が良くなったから
・そもそも昨年の業績が悪すぎた(一方で、今期は普通にもどったから)
・新規顧客を開拓できたから
・競合のコンビニがつぶれたため、お客さんが流れてきたから など
色々な理由が考えられそうです。
では、これらの理由の中で、「真因」は何なのでしょうか?そして、それはどうやってつかめばよいのでしょうか?
その手法の一つとして、「分解」があります。「コンビニの売上」を分解してみましょう。
「分ける」ことの有用性
コンビニの売上は何で構成されているでしょうか?
売上=顧客の平均単価×顧客数
です。
それでは、具体的に考えてみましょう。
例えば、昨年同月売上は100で、今月の売上は150であったとします。
それぞれの売上を、「売上=顧客の平均単価×顧客数」で分解したところ、
次のような結果が見えてきました。
- (昨年同月)顧客の平均単価は10、顧客数が10
- (今 月)顧客の平均単価は10、顧客数が15
こうして分解して見てみると、「顧客数が1.5倍に増加したこと」が、売り上げが昨年同月の1.5倍であったことが判明しました。
ここで次の問が浮かびます。
「なぜ顧客数が150%増加したのか」です。
顧客数は何に分解できるでしょうか?
新規顧客数と既存顧客数
午前の顧客数と午後の顧客数
平日顧客数と休日顧客数 など
色々な分解ができそうです。
是非一度、他にも考えてみてください。
このように、「分」けて考えると、答えが「解」かりやすくなります。
「分解」して考えることで、より真因に近づくことができるのです。
全ての「なぜ業績が良かったのか(悪かったのか)」、「何が原因なのか」「今後どうすればよいか」という要因分析は、より良い経営につなげるために行います。
分解の仕方に決まった正解はありません。
皆さんの事業にあった分け方で分解し、考えてみてください。
物事を分解して考え、「より良い経営」に結び付けましょう。