コラム

参謀 利田 幸弘(ビジネスネーム)

クリティカルシンキング:前提を疑う~あなたが思う電話は電話ではない~

今、このコラムを読まれている方は少なからず思考法に興味を抱いていると思います。そして、もしかすると自身に対して次のような課題を感じているのかもしれません。

 

  • 話の途中で何の話をしているか忘れてしまい、終わらせ方がわからなくなる。
  • 端的に話したいと思っているのに、つい話が長くなってしまう。
  • 話している相手の納得感が得られない。

誰しもこのような経験が一度はあるのではないでしょうか。こうした課題を解消するために、思考法に関する多種多様な書籍が世の中には存在します。みなさんも一度は書店で数冊立ち読みしたり、購入した経験があるのではないでしょうか。しかし、自分自身の考え方の癖は、本を読んだくらいではそう簡単に変えることはできません。その要因の一つは、自分の思考法に何が足りないのか、どんな癖があるのか、自身で気づくことが難しいということです。

 

そこで、今回はできる限りシンプルにクリティカルシンキングについて理解していただき、まずは自分の思考の癖を見つけてもらえればと思います。では、最初はそもそもクリティカルシンキングとは何かということからお話ししていきます。

 

クリティカルシンキングの前に

 

クリティカルシンキングとは論理思考の一種です。クリティカルシンキングを考える前に、まず論理思考について考えてみましょう。論理思考と聞いて、何を思い浮かべますか。「理論的」や、「筋道が立っている」などクールな印象を抱くのではないでしょうか。論理思考とは「問い」に対して「主張と根拠がセットになった答え」を考えることです。シンプルですね。

 

例えば以下のような例です。

 

問い

どんなダイエットをするか?

 

答え

食事制限とウォーキングをする。前提として痩せるには摂取カロリーより消費カロリーが上回らなければならない。なので、お菓子とアルコールを控えて摂取カロリーを制限する。そして、消費カロリーを高めるためには運動が必要なのでウォーキングを行う。日々できるものがよく、継続しないといけないので、準備物が伴わず、すぐにできるウォーキングをする。

 

 

問いに対して、この答えには主張とその根拠があります。一方で、主張と根拠が合っていなかったり、根拠が乏しかったり、そもそも問いに対して答えていない場合もあります。

 

具体的には次のような答えです。

問い

どんなダイエットをするか

 

答え

1.「ダイエットで思い出したけど、あの芸能人すごく痩せたけど何かあったのかな」

→そもそも問いに答えていない。

 

2.「そうめんを食べる。冷たくてカロリー0だから」

→面白いものの、根拠が間違っている。

 

 

このような場合、論理的とは言えません。なので、まずは論理思考とは「問い」に対して「主張と根拠がセットになった答え」を考えることとおさえておきましょう。

 

 

クリティカルシンキングとは

 

クリティカルシンキングとは、ここまでお話をした論理思考に加えて、「前提を疑い、客観的な観点をもつ」ことが必要となります。

例えば次の例の場合、「問い」に対して「出張と根拠がセットになった答え」という点では論理的(=ロジカル)ですがクリティカルシンキングではありません。

 

売上が下がっているスーパーマーケットの店長が考えています。

 

問い

「担当する店舗の売上を改善するにはどうすればよいか?」

 

答え

「〇〇の広告を打つ。過去に何回か成功しているから。」

 

 

この店長は、過去の成功に引っ張られたため、「〇〇の広告を打つことが正解であり、論理的に正しい」という認識となってしまっています。

 

また、先に「カロリー0理論」についても触れましたが、これも同様です。冷たいから、他にも穴が開いているから、一度焼いているから「カロリー0が正しい」という前提が置かれると、その人にとっては論理的な解答として成立します。

 

この例のように、最適な答えを導き出すためには自身の思考の癖に惑わされないよう客観的な観点をもって考えることが必要です。それがクリティカルシンキングが大切である理由です。

 

クリティカルシンキングではまず前提を疑い、根拠となる事実を考慮しながらその場その場の「最適解」を主張します。この前提は自分で自覚していないことも多く、人によっても違ってきますのでやっかいです。では前提がいかに人によって異なるかについて考えたいと思います。

 

 

前提という名の脅威

 

前提とは、人が疑うこともなく当たり前だと思い込んでいる考え方や事象、価値観などです。人は自分自身のこの前提について疑うことも、意識することもないため、問いに対し主張と根拠がセットになった答えを出したとしても、そのなかで前提の話はしません。しかし、この前提は人によって違っていることが往々にしてあるため、聞き手にとっては主張と根拠に整合性が感じられない場合あるのです。それは、聞き手からは話し手の前提が見えていないから起こります。これが隠れた前提です。

 

例を見てみましょう。

 

・売上2%の減少

→Aさん:達成が必達、2%ならなんとかいける

→Bさん:今のご時世なら2%ダウンならマシ

 

Aさんはベンチャーに所属し、売上を作っていかないと会社の存続も危ぶまれる状況、Bさんはいわゆる大企業に属し、翌期の立て直しを検討している状況であれば、2%に対する前提は異なります。

 

 

もうひとつ見てみましょう。

こちらの画像を見てください。

 

私はすぐに電話マークだと理解できますが、中学生にはなぜこの形かがわからないそうです。それは、中学生にとっては電話はスマートフォンのことであり、形は長方形という前提をがあるためです。

 

人がそれぞれ持っている前提は、他の人とどのようにズレているかを理解することは簡単ではありません。そのため、場合によってはコミュニケーション上のトラブルにも発展しかねません。そういう意味ではこの前提のズレは地雷とも言えます。地雷の撤去のように常に確認しながら齟齬のないように意識したいものです。

 

 

まとめ

 

今回は論理思考とは何か、クリティカルシンキングとは何か、そして前提を疑うことの重要性についてお話ししました。問いに対して主張と根拠がセットになった答えを出すというのは、簡単に見えて難しいものです。もし論理思考やクリティカルシンキングなど、思考法について学びたい方がいれば、参謀-linksの講座もぜひご検討ください。今後のコラムでもクリティカルシンキングについて書いていく予定です。ぜひ、日頃から「この人の前提は?」など、相手の言葉の背景についての何があるかを意識してみましょう。

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