コラム

参謀 浅井 貴之(ビジネスネーム)

オンラインで採用面接、やってみたらいいことがたくさんあった

新型コロナウィルスの影響は、採用活動にも及んでいます。

状況が落ち着くまで面接を自粛する企業もあれば、オンライン面接に踏み切る企業もあります。

私が勤めている企業では、新卒採用の面接をすべてオンラインで実施、説明会も動画配信だったため、結局内々定に至るまで学生と直接会うことなく、採用活動が終わりました。

 

今回は、実際にオンライン面接を行った実感も踏まえながら、新卒採用の面接におけるリアルとオンラインの違いについて考えます。

 

デメリットの多くは思い過ごし

 

「本当に一人で受けているかどうかわからない」

「カンニングペーパーを用意しているかもしれない」

「緊張感がなくなってしまう」

「学生の態度や振る舞いがわかりづらい」

といった意見が、オンライン面接に反対する方からよく聞かれます。

 

確かに、リアルとまったく同じ条件で実施できるわけではありません。

しかし、上にご紹介した意見、実は思い過ごしや勘違いといったことが多いです。

 

実際、カメラ外に他の人がいたり、志望動機などが書かれた紙が置いてあったりしても、カメラ外から情報を得ようとして不自然な間や視線の移動にすぐ気づくことができ、それを面接の評価に反映させることができます。

緊張感については、よく考えると論点がずれていることに気がつきます。

そもそも面接は、適切な候補者を見抜くことが目的であり、必ずしも相手を緊張させないといけないわけではありません。

緊張感を与えた上で的確な回答ができるかどうかを見極める、といえばもっともらしく聞こえますが、評価の一要素に過ぎず、合否の決定的な要因にはなりません。

どうしても緊張感をもたせたい場合も、質問の難しさや会話のテクニックで調整可能です。

 

学生の態度や振る舞い、いわゆる非言語コミュニケーションについては、リアルとはまた違った良さがあり、オンラインでも十分に代替可能です。

これについては3で詳述します。

 

移動がないことは費用と時間の両方が節約できる

 

学生と企業、双方にとって大きなメリットとなるのが、移動がないことです。

 

学生にとっては、複数の企業を受けるにあたり、受ける順番によって移動の難しさが変わります。

実際、学生の声を聞くと、「先輩たちは地域別に企業面接の日程を固めて移動していた、企業の提示する候補日が合わない場合は面接に参加できないこともあったと聞いている」ということです。

学生からすると、様々な地方の企業が一斉に採用活動を始め、それに合わせて日程を調整することは、まるでパズルをくみ上げるような作業です。

多くの企業がオンライン面接に踏み切った結果、もしかしたら先輩たちよりもたくさんの企業の面接を受けることができたかもしれません。

 

一方、企業側にとってはどうでしょうか。

遠方から学生を呼んで面接する場合、人数が多いほど交通費がかかります。

オンライン面接は、この費用を完全にゼロにすることが可能です。

さらに、リアルな面接では地方の学生を呼ぶ際、「何時に面接すれば日帰りができるか」を考えていました。

地方の学生は朝と夕方に移動してもらい、昼に面接することが多いのですが、昼間の時間も限られますのであまり多く面接することはできません。

オンライン面接ではこの制限がなくなり、日程調整が大幅に容易になります。

 

非言語情報はむしろわかりやすい

 

オンライン面接は、おそらく座った状態から開始します。

入室時の一連の動作、手のしぐさやちょっとしたクセなどを見ることはできず、マナーに厳しい面接官からのオンライン面接に対する評価は芳しくありません。

しかし、実はそれ以上にじっくりと見ることができるものがあります。それは目(と表情)です。

 

PC上で行う面接では、多くの方は画面に映った相手を見ています。

その時、相手の目はどこを向いていますか?

多くの場合、PCのカメラは画面の上部についているため、画面を見ている相手はやや伏目に映ります。

つまり、あなたが相手の顔を注視していても、視線が合うことはほぼありません。

(相手にも、やや下を見たあなたが映っているはずです。)

 

視線が合わないというのは便利なもので、顔をまじまじと見ていても相手はあまり気になりません。

答えにくい質問をした際、視線が合っていないにも関わらず無意識に目をそらす人もいます。

目は口ほどに物を言う、とも言います。

厳しい質問をした際に視線がどう動くかは、重要な情報です。

 

リスク、デメリットはないのか

 

当初考えられていたようなオンライン面接の懸念点の多くは問題にならないこと、メリットも多いことを示してきました。

では、本当にリスクやデメリットはないのでしょうか。

 

想定される大きなリスクは、そもそもオンライン環境の確保が面接を受ける側に委ねられることです。

脆弱な環境しか用意できない場合、音声が途切れがちになったりビデオが動かなくなったりと、満足なコミュニケーションが取れません。

また、2でも記載した通り、時間の制約がなくなったために学生が今まで以上に面接を受けられるようになりました。

学生側にとってはメリットかもしれませんが、企業にとっては競合が増えたとも言えます。

いずれも企業側の努力では回避しづらいリスク、デメリットではありますが、学生のオンライン環境に理解を示し、粘り強く話を聞いたり、面接のやり直しや別のツール利用などの代案を示したりする誠意を見せることで、結果的に自社への志望度を高めることにもつながります。

 

終わりに

 

これまでお話した学生で「リアルに会うことを重視している企業が良い」ということで選考を辞退された方はいませんでした。

むしろ、新しい環境にどれだけ適応できるか、学生も企業を見ているかもしれません。

企業の採用担当としては、シンプルに「オンラインでも十分に判断可能」です。まだオンライン面接をしたことがない採用担当、経営者の皆さまは、ぜひ一度チャレンジしてみてください。

 

浅井貴之

このコラムの著者:

参謀浅井 貴之(ビジネスネーム)

参謀の特長
人事系の業務全般を網羅。特に採用・人材育成に関する経験が豊富である。自らの経験と経営学を学んだ視点を活かし、経営戦略と人材マネジメントの高い次元での整合を目指す。
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