コラム

参謀 二木 徹

厳しい経営環境を乗り切るための3つのポイント

緊急事態宣言は解除されたものの、新型コロナウイルスの影響で厳しい経営環境が続いています。税理士事務所職員として毎日経営者の方とお話しする中で、今後の不安をお聞きしない日はありません。コロナの影響がいつ元に戻るのか、先が見通せない中で資金繰りや雇用の問題等、苦心されていることと思います。

 

私たち専門家は、「今こそ知識を活かして経営者の方々をサポートする時」との使命感を持ち、日々経営者の方と向き合っています。

 

本稿では、この困難な局面を乗り切るための重要なポイントを、3つに絞ってご紹介いたします。

 

 

1.本質に立ち返る

 

日々、めまぐるしく状況が変わる環境では、まずコントロールできることだけをピックアップして対策することが重要です。

 

例えば、百貨店に入っているテナントを例に考えてみましょう。

 

4月中旬から緊急事態宣言が発令、百貨店は休館となりました。百貨店が休館になってしまったことは残念ですが、このことは経営者がコントロールできることではありません。大切なのはコントロールできることに集中して対策すること。まずは資金繰りの把握、従業員への休業手当の試算、仕入ルートの状況管理などです。

 

それらがひと段落すれば、百貨店以外の販売ルートを開拓するための準備や、コロナ沈静化後のオンライン化対応など、今できることに集中するのです。

 

今の状況が衝撃的なことは十分承知しています。ただ、悲観的になっていると精神的に消耗し、大切なことにエネルギーが使えません。今は変化に対応するための方策を、迅速にうっていく必要があります。行動できることは限られますが、考えることは制限されていません。沈静化した後、どのようなV字回復のイメージをしているかで大きな差が生まれると感じています。

 

 

また、この機会に経営者自身が本質に立ち返る必要があります。

 

それは、経営者が「会社を通じて、どんな世界を作りたいか」を突き詰めて考えることです。それが具体的でリアルなほど、ご自身のエネルギーが発揮され、暗闇を照らす光を放ちます。イメージが明確になれば、それを実現するための行動でエネルギーロスが生じません。ご本人の力が100%発揮されるのです。この困難な状況だからこそ、ご自身を見つめる良い機会にしていただきたいのです。

 

 

 

 

2.専門家を頼ること

 

今回のコロナショックでは、情報の価値が一段と増していると感じます。

例えば融資を受ける場合、制度は?条件は?自社は対象?窓口は?など

経営者が通常行っていない手続きに取り組む必要が出てきます。

これらの手続きに詳しいのは、各分野の専門家です。

 

中には専門家でも理解するのが難しい制度もあります。

休業手当に関する助成金(雇用調整助成金)では、相次ぐ要件緩和で社会保険労務士でも正確に把握している先生は少ないようです。専門家でも難しい制度を、経営者自身で理解し、判断することは至難の業です。ですから、まずは専門家に頼ってください。

 

融資・補助金・給付金のことは税理士・会計士・中小企業診断士などに、助成金のことは社会保険労務士にご相談ください。そして、専門家の意見を聞き、ご自身で判断をしてください。専門家だけでなく、同業種、同年代の経営者間での情報交換も有意義だと思います。

 

 

 

 

3.想いを伝える

 

先行き不透明な現状において、取引先や従業員も不安を抱えています。

そこで「会社の想い」「経営者の想い」を発信することが大切です。たとえ、休業する等のネガティブな情報であったとしても、経営者の想いを乗せて伝えることが重要です。この時に、「会社を通じて、どんな世界を作りたいか」が明確になっていれば、自然とエネルギーの乗ったメッセージが出てくるのです。

 

例えば、先の百貨店のテナントの場合、従業員を休業させることになりました。

休業の連絡を受ける際、従業員の精神状態を想像してください。

単に連絡事項として聞く場合と、次のメッセージを添えられた場合、どう感じますか?

 

「今回、休業のお願いをせざるを得ないのは申し訳ない。でも、当社の商品を通じてお客様の笑顔を作るために、あなたの存在、特にそのとびきりの笑顔はなくてはならない。店舗が再開したとき、あなたの力をまた貸してくれないか。」

 

休業という同じことを伝えられたとしても、受け取り方が大きく変わると思います。

 

コロナショックは、リーマンショックよりも影響が大きく、思い切った策を講じる必要もあろうかと思います。だからこそ、経営者がどんな想いで取り組んでいるのか、どんな世界を作りたいのか、を丁寧な言葉で伝え、語ることが重要です。

 

 

 

 

おわりに

 

現時点で最も困難な状況に立たされているのは経営者です。

今後のことを考え、眠れぬ夜を過ごしておられる方も多くいらっしゃることかと思います。ぜひ、少しの時間だけでも趣味や散歩など息抜きの時間を持ってください。ご自身の精神状態を健全に保つことも経営者の皆様にとって大切なことかと思います。私たち専門家も全力でサポートする所存です。

 

参謀 二木徹

このコラムの著者:

参謀二木 徹

参謀の特長
税理士事務所に勤務し、製造業の中小企業を中心に顧問を担当。数字をきっかけに中小企業の経営課題を発見し、解決をサポートしている。心理学を学び、カウンセラー資格を保有。財務会計面だけでなく、心理学の学びを活かし、経営者・従業員に寄り添ったサポートをしている。
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