コラム

参謀 二木 徹

「ホメオスタシス(恒常性)」のワナ

心理学には「ホメオスタシス」という言葉があります。

これは日本語に直すと「恒常性」、

もう少し簡単に言うと「なるべく今の状態を維持しようとする働き」のことです。

 

例えば、体重が増えてきたとき、私たちは「ダイエットしなきゃ」「お菓子は控えよう」と、これまでの行動を見直そうと試みます。しかし、これまでの行動を変化させることは、なかなか簡単なことではありません。ついつい食べてしまったり、明日から頑張ろうと理由をつけて変化することを嫌います。頑張っても3日で終わってしまったり…。

 

これが「ホメオスタシス(恒常性)」です。

変化することには、結構大きなハードルがあるのです。

 

経営についても、「ホメオスタシス(恒常性)」が潜んでいることがあります。

 

 

 

1. コロナ禍で感じた「ホメオスタシス(恒常性)」

 

小規模企業が法律を完璧に遵守しているかというと、現実問題として難しい点があるかもしれません。しかし、これまで別に問題が起きなかったから、きちんとするには費用や手間がかかるから、と、そのままにしておくことは良い結果になりません。

 

今回のコロナ禍で、国や地方公共団体から企業への支援策が出ました。要件を満たしてはいるものの、法律を遵守できてなかったために、2つのコロナ支援策(約100万円)を受けられなかった企業もあります。小規模企業にとってはとても大きな機会損失となりました。

 

もし、この企業が法律を遵守できていないことに気づいた時点で改善をしていれば、今回の支援策を受けられたでしょう。しかし、「ホメオスタシス(恒常性)」が働いたのです。その結果、コロナ禍の危機的状況で受けられるはずの支援を受けられませんでした。平時の資金繰りで費用を捻出するも大変ですが、ピンチの時に支援を受けられないのは大きな痛手になりました。

 

 

 

2. IT化で感じる「ホメオスタシス(恒常性)」

 

コロナ禍で緊急事態宣言が発令された直後、中小企業は大企業に比べてテレワーク導入率が低いというニュースを目にしました。導入率が低い理由の中で、「テレワークのためのICT環境が整備されていない」というものに目が留まりました。

 

この理由の裏には、資金面や人材不足もあるかもしれませんが、「ホメオスタシス(恒常性)」が隠れていると想像しています。

 

逆に、この逆境をチャンスに変えた企業もあります。

コロナ禍でお客様が減ったある美容室は、Zoomでブローの仕方やヘアセットをレクチャーする講座を販売されていました。美容室×オンラインというと一見難しそうに思えますが、何かできないかと考え続けると、このような案を思いつくかもしれません。

 

現在は無料で情報発信ができるSNS(Facebook、Twitter、Instagramなど)や、オンラインでサービスを可能にするツール(Zoom、Skypeなど)もあります。この機会に、ITに強い若い世代の従業員を巻き込んで、新しい情報発信やサービスを検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

3. 「ホメオスタシス(恒常性)」のハードルを越えるには

 

これまでみてきたように、ビジネスにおいては「ホメオスタシス(恒常性)」は良い結果を生み出さないことが多いです。

「変わらない」というのは、「変わらない」決断をしていることになります。

時代は進むのに「変わらない」ということは、「後退する」決断をしていることになります。アフターコロナでは、“柔軟性”がキーワードになってくるでしょう。

 

とはいっても、法律遵守やIT導入には費用と手間がかかり、本業がある中で取り組むのはハードルが高いと思われるかもしれません。コロナ禍で知った方も多いかもしれませんが、そのような場合には、新しいツール導入の費用を国が補助してくれる補助金制度もあります。

 

申請などに手間はかかるのですが、IT導入補助金や持続化補助金などを活用して、小規模企業もこの機会に「ホメオスタシス(恒常性)」のハードルを越えて、新しいことに柔軟に取組んでいく必要があると感じています。

 

これらの申請については私達専門家がサポートできます。新たに自社でオンライン化できるサービスを考えるには絶好のタイミングだと思います。

 

 

 

おわりに

 

企業において「ホメオスタシス(恒常性)」が良い効果を発揮するのは、理念などの普遍的根本の部分です。一方で、これまでの慣習的なやり方やツールは定期的に見直すことも必要かもしれません。「変わらないことは後退すること」と認識し、専門家のサポートも受けながら、時代に合わせて柔軟に見直していきましょう。

 

参謀 二木徹

このコラムの著者:

参謀二木 徹

参謀の特長
税理士事務所に勤務し、製造業の中小企業を中心に顧問を担当。数字をきっかけに中小企業の経営課題を発見し、解決をサポートしている。心理学を学び、カウンセラー資格を保有。財務会計面だけでなく、心理学の学びを活かし、経営者・従業員に寄り添ったサポートをしている。
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