コラム

参謀 二木 徹

従業員と“共に”会社を作っていく時代

引続き、コロナウイルスの影響で、経営困難な状況が続いています。

経営者の方々は、先が見通せない中で資金繰りや雇用の問題等、苦心されていることと思います。

 

対応すべき問題が山積する中、これらの問題を経営者だけで解決しようとしていませんか?

 

1. 会社は誰のもの?

 

この問いに法律家として答えると、私は株主のものと答えます。

株主には取締役を選任する権限があり、会社の経営に関する重要事項に意見する権利があるためです。

中小企業においては、株主=経営者やその親族であることが大半ですから、会社は経営者一族のものともいえるでしょう。

 

一方で、この問いにコンサルタントとして答えると、私は「会社で働くすべての人のもの」と答えます。

その理由は、会社は経営者だけで運営されているのではないからです。

会社は経営者だけでなく、会社で働く従業員すべての人の力によって回っています。

経営者には経営に関する決定権がありますが、一人では大きな活動はできず、影響力は限られています。

 

これまでに経験したことのない、先の見えない困難を乗り越えるためには、経営者と従業員が一丸となって協力する必要があります。

まずは、経営者が積極的にコミュニケーションをとり、従業員と話をすることが大切です。

 

休業等で直接話すことが難しい状況でも、電話やメールなどでコミュニケーションをとりましょう。

従業員も不安を抱えているので、経営者の「大丈夫、協力して乗り切ろう」という姿勢が重要です。

 

 

2. 従業員の“ため”って本当?

 

経営者の方とお話ししていると、従業員には給料を払って一生面倒見ていかないといけない、とおっしゃる方がいらっしゃいます。

「従業員の“ため”に会社を潰すわけにはいかない」と。

 

では逆に、従業員の立場で考えてみましょう。

従業員は会社に一生面倒見てもらうつもりで働いているのでしょうか?

 

答えはNOです。

 

もちろん、従業員はしばらくの間、お給料をもらいながら生活していくつもりでいると思います。

しかし、それは一生ではないでしょう。

会社の業績が悪くなれば転職する従業員もいるでしょうし、スキルアップや経験のために一時的に勤務している人もいると思います。

また、能力の高い人については、独立していくこともあるでしょう。

 

私の個人的な考えかもしれませんが、会社を潰してはいけない理由は、従業員の“ため”ではないと思っています。

 

会社が潰れたときに、一番困るのは誰でしょう?

 

それは経営者です。

 

会社の借入金の保証人になっていれば、倒産後も経営者個人で借入金を返済していくことになります。

会社が潰れたら従業員は失業しますが、その後、他の会社で働くことができます。

 

会社を潰してはいけないという義務感で行う行動には、マイナスの力が働きます。

本心からくる行動ではなく、自発性がないのです。プラスの力をはたらかせるには、「~したい」という夢や希望を抱くことが大切です。

プラスの力から生まれる行動は、エネルギーが高く、良い波動があるため、自然と協力したくなる雰囲気が出来上がり、継続します。

 

 

3. 従業員と“共に”会社を作っていく時代

 

価値観が多様化し、個人がより尊重されるようになった今、ひと昔前のトップダウン型の組織では従業員は疲弊していきます。

上からの指示で動くことになり、自発性がないことが多いからです。

 

今の時代、経営者には社員と“共に”会社を作っていくという意識が重要だと思います。

“共に”とは、従業員ひとりひとりの個性を大切にし、価値観を受け入れることです。

 

従業員は働く中で、「この会社で働く意味」を見つけたいと潜在的に思っています。

それは従業員自身の生きがいにもつながることです。

 

ひとりひとりの個性が違うように、「この会社で働く意味」は従業員ごとに、ひとりひとり違っています。

何がやりがいになるかは人によって違うのです。

 

だからこそ、経営者が従業員ひとりひとりの思っていること、要望、不満、考えを親身になって聴き、それらを受け止める必要があります。

 

まずは話をする、聴くということから始めてみてください。

個人が尊重され、信頼されている環境ができれば、従業員はモチベーションが上がり、思いもよらないアイデアを出してくれることがあるでしょう。

 

 

おわりに

 

どんなに有能な経営者でも、一人でできることには限界があります。

この困難な経営環境であれば、なおさらです。

 

まずは従業員の話を聴くこと。

そして、従業員を信じて頼り、色んな視点から協力して解決策を出し合うことでほとんどの経営課題は乗り越えられる、と私は信じています。

 

会社は「会社で働くすべての人のもの」という視点で、もう一度会社を見つめ直してみてください。

 

少しでも経営のヒントになれば幸いです。

 

参謀 二木徹

このコラムの著者:

参謀二木 徹

参謀の特長
税理士事務所に勤務し、製造業の中小企業を中心に顧問を担当。数字をきっかけに中小企業の経営課題を発見し、解決をサポートしている。心理学を学び、カウンセラー資格を保有。財務会計面だけでなく、心理学の学びを活かし、経営者・従業員に寄り添ったサポートをしている。
お問い合わせ
  1. 従業員と“共に”会社を作っていく時代