- 参謀の特長
- 人材サービスのベンチャー企業において、企業法務を中心に経営管理業務を行う。企業法務だけにとどまらず、社内の管理体制の構築に従事。
コラム
参謀 岡田 将士
顧客生涯価値を伸ばしていくために考えたいこと
事業を継続、成長させていくためには、収益を伸ばしていかなくてはなりません。
収益というと、「自社全体の収益」という大きな枠組みでとらえられることが多いですが、「お客さん1人あたりの収益」という考え方があります。
顧客生涯価値(Life time value)、と言われているものです。
目次
収益を伸ばすためのアプローチ
収益(特に売上)を伸ばすためには、「単価を上げる」と「数量を上げる」という大きく2つのアプローチがあると一般的に言われます。
「お客さん1名あたりの収益」で考えた場合、数量を上げるということは、サービスの利用頻度を上げることや、利用期間を伸ばしたりすることであると言えるでしょう。
つまりお客さんに、自社製品やサービスを複数回にわたって利用してもらうことが重要になります。
レストランの例
先日私がレストランで昼食をとったときの事例をもとに、リピート顧客を作る施策について考えたいと思います。
顧客へのアンケート
先日、レストランで昼食をとった際、店員の方から「お店の評価に関するアンケートに回答すれば、ドリンクバーが無料になる」という案内を受けました。
これはまさに、顧客のリピート率向上につながる施策であると思います。
アンケートによる関係者のメリット
このアンケートへの回答について、企業(お店)側のメリットは以下のようなものでしょう。
・顧客の意見を収集できる。
・有益な意見を取り入れることで、顧客の望む店舗づくりができる。
・顧客のドリンクバー利用により滞在時間が延び、単価が上がる可能性がある。(食後のコーヒーを飲む際にデザートを注文等)
一方で、顧客側のメリットは以下のようなものでしょう。
1~2分の作業(私が見たのはQRコードの読み取りと5問程度の質問でした)で、数百円のドリンクバーが無料になる。
アンケート結果の活用
企業(お店)は、安い費用(ドリンクバーの原価程度)で、顧客の声を収集することができ、その声をきちんと分析し、分析結果を店舗運営に反映させることで、ファンになる顧客を増やすことができます。
その結果、リピート顧客が増え、1人の顧客から得られる収益を伸ばすことができます。
例えば、顧客が来店してくれたものの、リピートしてもらえない場合、その顧客から得られる収益の総額は、次の通りです。
ランチの平均単価1,000円×来店数1回=1,000円
しかし、仮に2回リピートして来店してもらえた場合、その顧客から得られる収益を次の通り増やすことができます。
ランチの平均単価1,000円×来店数3回=3,000円
スポーツジムの例
もう一つ、スポーツジムを例に、顧客生涯価値を伸ばすための施策を見ていきたいと思います。
ジムに設置されている計測器
スポーツジムでは、筋量・脂肪分・体脂肪率などを計測してくれることがあります。また、これは無料であることも多くあります。
ジム会員はこの測定器を利用することで、自分の現状をいつでも手軽に把握できます。また、測定結果と併せて、おすすめトレーニングメニューが提示されることもあります。
おすすめトレーニングメニューを続け、その後再度測定した際に、自身の筋量・脂肪分・体脂肪率などが以前の数値よりも改善されていれば、会員は「もっとがんばろう」という気持ちになります。
その結果、ジムの途中解約率が減り、会員継続率が上がります。
スポーツジムの収益モデル
一般的に、スポーツジムを利用するには、会員となり月額会費を支払う必要があります。
月額会費は(プランによりますが)定額なので、1人の顧客からの収益を伸ばすためには、1か月でも長く会員を続けてもらうことが必要になります。
スポーツジムの1人の顧客からの収益=月額会費×利用継続月数(+入会費)
上記の体脂肪等の測定は、「ジムを利用し続けてもらう」ことに有効にはたらきます。
ジム側とすれば、測定器の購入費用が必要ですが、一度購入してしまえば、それ以降は分析結果を出力する用紙代程度で済む施策です。
さいごに
当たり前ですが、収益は一人一人の顧客から得られる収益の積み上げに他なりません。
従って、一人一人の顧客に繰り返し製品・サービスを利用してもらうことが非常に重要になるのです。