コラム

参謀 川勝 洋輔(ビジネスネーム)

ルールの運用で学んだこと

以前に品質管理をしていた時の話です。

 

■工場での不良率の差

先輩が管理している工場と私が管理している工場で、不良率に差がついたことがありました。最初は同じような不良率だったのですが、先輩が担当している工場は改善し、私の工場はそのままという状態でした。私はその先輩の工場を横目に見ながら、焦り、もっとしっかり管理をしなくてはという気持ちになりました。

 

それから、工場から上がる不良の報告に向き合い、せっせと対策を講じていたのですが状況は改善しないまま…。一方の先輩はというと、不良の報告があっても半分聞き流すくらいで必ずしも全ての案件に対応している訳ではありませんでした。「なんでこんな管理で不良率が改善されていくのだろう?」「これは、品質管理担当者である私の問題ではなく、工場の問題なんじゃないだろうか?」とさえ感じたのを覚えています。

 

■先輩と工場訪問

そんなある日、先輩から声をかけられました。「工場訪問に行くぞ、ついてこい。」と。まずは先輩の担当工場。訪れてみても工場のラインは至って普通。これでなぜ品質不良が改善しているのか、意味が分からないまま。…が、次に訪れた私の担当工場内の掲示板を見て、初めて私は自分のミスに気がつきました。工場の掲示板には、所狭しと再発防止策が貼られていました。読むのもうんざりする量です。先輩は私に向かって、「分かるだろう?これが品質不良の差だ。」と、その理由を説明してくれました。

 

「工場において、ミスは必ず発生する。もちろん、起こしてはいけないミスはあるが、見過ごしていいミスもある。そのために不良率というものを設定しているんだ。」「工場から上がってくるミスの報告に対し、目をつぶるものとそうでないものを分けないと、この工場のように、実現出来ない再発防止策を次々と作り出し、ルールを形骸化させることになるぞ。一生懸命は悪くはないが、時には目をつぶる勇気も必要なんだ。」
先輩はそう教えてくれました。

 

Steve JohnsonによるPixabayからの画像

■学んだこと

ここで私が学んだことは以下の二点でした。

①ルールは、人が覚えられる最低限に設定すること。そのために、ルールに優先順位をつけ、軽度の低いものは目をつぶる勇気をもつこと。

②個々の事象に個別に対応策を打ち出すのではなく、複数の事象を俯瞰して、それらに通じる普遍性のあるルールを作っていくこと。

実は、先輩が聞き流しているように見えたのは事象を集めていた段階だったことも後からわかりました。実は裏で、それらに共通するものを探っていたそうです。(共通項を見つられなかったものもあったそうですが。)

 

この発想は、それ以降の私の仕事の取り組み方や子育てにも影響を与える考え方の発見でした。結果として取り組み方を変えることで工場の不良率も改善し、無事ことなきを得た、という経験でした。

このコラムの著者:

参謀川勝 洋輔(ビジネスネーム)

参謀の特長
マーケティング・企画を担当。スポーツアパレルの分野にて、マーケティング・企画畑を中心に、開発や品質管理など、アパレルのモノづくり全般に携わる。また、理論だけでなく、人を巻き込むコミュニケーション力で、実践的な業務を展開。
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