- 参謀の特長
- 人材サービスのベンチャー企業において、企業法務を中心に経営管理業務を行う。企業法務だけにとどまらず、社内の管理体制の構築に従事。
コラム
参謀 岡田 将士
上司が口を出す組織が悪いとは言い切れない理由
上司や先輩などから「この内容は分析が足りない」「会社の方針とは違うから一旦保留にしよう」「部の役割から外れているから考え直して」といったように、提案内容について指摘を受けた経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
指摘を反映させた結果、提案の原型がなくなってしまった、提案自体を取り下げる結果になった、ということもあるかもしれません。
私が以前働いていた会社は、必ずと言っていいほど上司や先輩の指摘が入る組織でした。(私の提案の質が低すぎたのも、その理由の一つではありますが。)
当時私は、モチベーションを下げるようなことはしないでほしい、と思ったものですが、その組織を離れた今改めて考えてみると、こうした組織文化は意外と悪くないと考えています。
今回は、その理由をご紹介したいと思います。
目次
トップダウンとボトムアップ
「トップダウンが強い」「ボトムアップを許す組織ではない」といった言葉を聞くことがあります。
経営層や幹部層から指示が下りてくることをトップダウン、それとは反対に現場から意見を出し、それを拾い上げて経営に生かしていくことをボトムアップ、と言います。
会社の組織文化や在籍社員の性質、経営スタイル等によって、その組織がトップダウンとボトムアップのどちらに寄っているのかが分かれます。
経営陣の役割
経営陣の役割は、数年先の中長期的な視点で会社がどうあるべきかを考えること、と言われます。
中長期の大きなビジョンを描いた上で、それを単年・四半期・月次の計画に落とし込んだり、各部門の役割に分解したり、また会社にとって重要となる指標(KPI)に置き換えることで、中長期ビジョンに沿うよう、組織のかじ取りをしていきます。
こう見ると「経営=トップダウン」に思えるかもしれません。
現場の実態
一方で現場では、経営・幹部層から目標が下りてきても「現実的じゃない」「現場のことをわかっていない」と思うことも多いでしょう。
これは、現場社員がお客さんや競合他社と近いところで日々仕事をしているからこそ出る意見です。そして、この現場の「現実的ではない」という感覚は、往々にして間違っていないことがあります。
それでは、トップダウンが間違いなのでしょうか?
相互に理解することが大事
以上を踏まえ、トップダウンとボトムアップのどちらが望ましいのでしょうか。
結論としては、経営陣と現場社員どちらの考えも取り入れ、それらをすり合わせて着地点を見出す、というのが良いと考えます。
トップダウンが強い場合、現場が何も意見できない・忖度が過ぎるといったことが発生し、最悪の場合は、企業不祥事につながりかねません。
一方、ボトムアップに寄りすぎると、現場のやりたいことが乱立して会社の方針がまとまらない・低い目標が横行し会社の成長につながらない、といったデメリットも考えられます。
このため、トップダウンとボトムアップ双方のメリットを生かしつつ、合理的な着地点を見出せると良いでしょう。
冒頭の例で考える
冒頭の例で考えると、上司からの「その提案は認めない」「こう修正しなさい」という頭ごなしの指示は望ましくありません。
しかし、ボトムアップの良いところを取り入れた上でトップダウン要素も含めた指摘をしているのであれば、会社の方針にも沿っており、かつ現場の現実的な意見も反映させることができ、合理的な着地点を見出せるはずです。
つまり「上司から常に指摘を受ける」ということは、自分が足りない視点を補ってくれているものであり、悪くない事象と言えるのです。
一方で、部下の起案に対して常に「いいね」「素晴らしい」「やってみよう」とだけ言い、すべて容認する姿勢は、本来の幹部としての仕事ができておらず、無責任以外の何物でもないと言えるのではないでしょうか。
さいごに
自分が当事者(特に部下の立場)である場合、上司からの指摘に対して「面倒だな」と感じることも多いかと思います。
その際は、トップダウンとボトムアップのすり合わせによる合理的な着地点を一歩引いた目で見てみることをおすすめします。
冷静になってより良い解決策に向かえるかと思います。
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