- 参謀の特長
- 人事系の業務全般を網羅。特に採用・人材育成に関する経験が豊富である。自らの経験と経営学を学んだ視点を活かし、経営戦略と人材マネジメントの高い次元での整合を目指す。
コラム
参謀 浅井 貴之
リーダーのための、仕事における自分らしい判断軸の考え方。
私たちはビジネスを行ううえで、常に何かしらの判断を行っています。
「新規顧客か、既存顧客か」「売上か、満足度か」「ルールを守るか、特例を作るか」……
それは、小さな仕事でも、経営でも変わりません。
判断をする、ということは、2つ以上の選択肢があり、どれを選び、どれを選ばないかということです。
スピードを求められる時にも、無意識的に何かしら自分の大事な考え方を基に判断しているはずです。
この、判断するために自分が大事にしている考え方を「判断軸」と言います。
自分自身の判断軸を自覚することで、判断のスピードを上げ、自分の判断への納得感を増すことができます。また、他者から見ても一貫性が生まれますので、言動に対する信頼感の向上が期待できます。
今回は、自分がどんなことを大事にしているのか、仕事における判断軸について考えてみましょう。
目次
■わかりやすい判断軸の例
判断軸というと難しく考えがちですが、ある程度は類型化されているものです。
例えば……
- 利益(成果)か、人間関係か
- 短期的か、中長期的か
- 自分の利益か、相手の利益か
- 論理的な正しさか、感情的な正しさか
- 自分の意見か、周囲の意見か
- 攻めるか、守るか
「ケースバイケースだ」と言われればその通りかもしれませんが、実は「ケースバイケースであると思うかどうか」も判断軸の一つです。すなわち、「状況依存的に物事を見るか、どんな時も自分の判断軸を大事にして考えるか」ということです。
必ずしも「徹底的に短期的に利益をとる」といった、とがった判断でなくてもかまいません。むしろ、とがっているかどうかよりも、どんな状況でもぶれずに自分らしい判断軸で決められるかどうかが重要です。個性とは、自分の判断軸に基づいた選択の繰り返しによって醸成されます。
ある経営者が「自分の判断軸は24種類ある」と言っているのを聞いたことがあります。さらに、既存の軸で判断できない時には新しい判断軸を増やすのだそうです。これだけの数の判断軸をぶれずに使い続けることができれば、もし一つ一つの判断が当たり前のことであっても、とてもその人らしい判断になりそうです。
■いくつかの自分の判断を思い返してみる
実際に、自分が過去に経験したビジネス上の判断をいくつか思い返してみましょう。大小どのようなものでも構いませんが、様々なケースがあったほうがよいですね。
例えば……
- 取引先から値下げ依頼された時の対処法
- 同僚から頼まれた仕事をやるかやらないか
- 部下のトラブルにどう対処するか
- どのようなアイデアを上司に提案するか
すべて自分の軸にそった判断はできていますか?
できていない場合は、自分なりに納得できる理由はありますか?
自分なりに納得できているならば、その背後に新しい判断軸が隠れている可能性もあります。
あまりに判断軸にぶれがある場合、周囲の方からみても一貫性がないように映り、「どんな答えが返ってくるかわからない人」として捉えられてしまいます。そうすると、誰もあなたに相談しなくなります。ある程度返ってくる答えの予測がつくほうが、周囲の方もあなたに相談しやすくなるものです。
また、自分を鍛えるなどの理由で意識的に判断軸からずらす場合はよいのですが、無自覚にずれている場合には、判断すること自体が自分にとって思わぬストレスになる可能性があります。時々は自己チェックすることをおすすめします。
■理念や行動規範は、会社としての判断軸を示したもの
企業理念やビジョンは、会社の「目指したい姿」や「ありたい姿」を表現したものですが、これも何かしらの判断軸で言葉を選んだ結果と言えます。いくつもの目指しうる選択肢がある中で一つの言葉に決めるわけですから、その企業の判断軸を表す自分たちらしい言葉にまとめたいものです。
さらに、会社としての判断軸をより直接的に表現したものが行動規範です。つまり、「当社の社員は迷った時にこの判断軸にそって決める」と、いくつか明示するのです。社員が同じ判断軸でものを考えられるようになりますから、会社としての統一感が生まれ、意思決定のスピードも速くなります。半面、あまり厳格に決めすぎると社員の個性を生かせなくなるため、会社として本当に大切にしたいことだけに絞る、というバランス感覚が求められます。
■まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、判断軸について考えてみました。
人の判断には、意識的・無意識的を問わず、その人の判断軸が影響します。
自分がどのような判断軸を持っているかを整理すると同時に、周囲の方がどのような判断軸を持っているかを考えてみるのもよいかもしれません。
参謀 浅井 貴之(ビジネスネーム)
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