- 参謀の特長
- 人材サービスのベンチャー企業において、企業法務を中心に経営管理業務を行う。企業法務だけにとどまらず、社内の管理体制の構築に従事。
コラム
参謀 岡田 将士
平行線になってしまう交渉における着地点の見つけ方
仕事・プライベートを問わず、交渉相手と折り合いがつかなくなったことはありますか?
今回は、そのような場合に、相手と折り合いをつけるための1つの考え方・方法をご紹介したいと思います。
目次
兄妹げんか
先日、子供たちがけんかをしていました。話をこっそり聞いてみると…
妹「お兄ちゃん使ってるブロック貸して~」
兄「だめ!これ今僕が使ってるから。」
妹「いいでしょ、貸してよ!」
(妹が無理やり取りに行く)
兄「取らないで!このブロックで大きい箱を作るんだから!」
(無理やり取り返す)
妹「なんで!貸してって言ってるでしょ!ブロックで遊びたいの!!」
兄「ダメ!!!」
お子さんがいらっしゃる家庭では、このようなおもちゃの取り合いは日常茶飯事ではないでしょうか。
今回は「交渉」についての話ですが、上記のけんかについても、「ブロックをどちらが使うか」についての兄と妹の交渉、と読み替えることができると思います。
さて、本件の兄妹げんか、どうしたものでしょうか…
両者の言い分
両者の言い分を、以下のとおり整理してみました。
<兄の言い分>
・ブロックを使っていたい。
・なぜなら、そのブロックを使って作りたいもの(大きな箱)があるから。
・よって、誰にも遊びを邪魔されたくない(このブロックは妹には使わせたくない)。
<妹の言い分>
・ブロックを使いたい(貸してほしい)。
・なぜなら、ブロックを使って遊びたいから。
・よって、兄のブロックを取り上げたい。
さて、この両者の言い分は平行線のままなのでしょうか。
何か良い解決策・着地点はないのでしょうか?
両者の関心事
上記の例で、両者の言い分の裏にある「関心事」に目を向けてみましょう。
そうすると、以下のとおり整理できると思います。
<兄の関心事>
妹にブロックを取られたくない(ブロックを使い続けたい)。
なぜ?→ブロックで遊んでいたいから。
なぜ?→大きな箱を作りたいから。
⇒関心事は「大きな箱を作ること」
<妹の関心事>
兄のブロックを取りたい。
なぜ?→ブロックを使いたいから。
なぜ?→ブロックで遊びたいから。
⇒関心事は「ブロックで遊ぶこと」
上記のとおり、両者の関心事を整理した私は、この兄妹に次の提案をしてみました。
双方の歩み寄り
双方は表面的にはブロックを取り合っていたのですが、その関心事は、兄は「大きな箱を作ること」、妹は「ブロックで遊ぶこと」でした。
そこで私は、
兄に対しては「妹と一緒に大きい箱を作ったら?」
妹に対しては「お兄ちゃんの箱を作るお手伝いをしたら?」
と「一緒にブロックで遊んで、大きな箱を作ること」を提案してみました。
結果、両者は納得したのか、仲よく遊び始め、けんかは無事終わりました(めでたしめでたし)。
さいごに
上記のケースのように、双方の言い分が食い違い、議論が平行線になったときは、双方の言い分の裏側にある関心事に注目してみてはどうでしょう。
議論に着地の余地があるにもかかわらず、表面的な言い分で議論が膠着してしまっているケースがあるかもしれません。
相手の期待・関心事・要望等、相手のことをしっかり理解したうえで、交渉によってさらなる価値を作り出すことに目を向けてみると、スムーズな解決につなげられることがあるかと思います。