コラム

参謀 青木 永一

論理的って、つまりどういうこと?

「論理的」とは何か。

つまりは、論点(問い)に対する主張が構造的であり、結論まで示された、結果の状態です。

 

「構造的」とは、以下3つの条件を満たした状態を指します。

  1. 整理
  2. 整頓
  3. 整列

それぞれの意味は、以下で説明します。

 

「論理的」である目的は、他者との意見交換や議論などを通じたコミュニケーションを円滑に進めるためであり、経営的な言葉で言い換えるならば、関係者間のコミュニケーションミスを回避するため、ひいては、意思決定のミスを軽減させるためです。

 

整理、整頓、整列の意味

 

冒頭で述べた結論、「論理的とは何か?」の結論、「論点(問い)に対する主張が構造的であり、結論が示されている状態」について、それぞれの言葉を掘り下げてみます。

 

論点とは?

 

「論点」とは、課題に対する問いです。

何を論点と定めるか、この点はもっとも重要であり、常に意識して課題に取り組めるかどうかが、主張の形成過程と結論の質を左右します。

 

論点をブラッシュアップするためのコツとして、「一方で」、「他には?」、「本当に?」の3つのワードを意識しておくことをお勧めします。

 

論点を、より本質的なものにするため、「そもそも」の視点で見直す、疑う思考を「クリティカル・シンキング」と呼びます。日本語では「批判思考」と訳され、今回のテーマである論理思考(ロジカル・シンキング)とともに、ビジネスパーソンにとって必須のスキルです。

 

一見、構造的で筋の通った論理展開だとしても、論点がそもそも「ズレている」のでは費やした時間が無駄に終わります。また、主張に極端な偏りや、事実と意見が分けられていない、不足だらけなどはやはり残念です。そうならないためにも、課題に対して「批判思考」と「論理思考」は常にセットで取り組むことが理想的です。

 

では次に、「構造的」を成す、整理、整頓、整列それぞれの意味を考えます。

 

以下は、順序が大切です。

 

1.整理とは?

 

論理思考の「はじめの一歩」では、集めた情報の「整理」が必要です。

 

「整理」とは、要と不要に分けること。

 

たとえば、事実と意見、感情と責任、10以上50未満など一定のルールで分けた、論点に直接必要な要素のみに絞る行為です。大切なのは、複雑化を避けるため、今必要のないものはひとまず「捨てる」勇気を持つことです。

 

自分が伝えたいことを、伝えたいように、伝えたいだけ伝える。

 

上記は、プライベートでは問題ないかもしれませんが、ビジネスシーンでは難ありです。混乱を招かないためにも、必要な要点に絞る「整理」を心掛けてください。

 

2.整頓とは?

 

整理の次に必要なのが「整頓」です。

 

整頓」とは、規則性をもって配置すること。

 

たとえば、重要と緊急、短期と中長期、変えられるものと変えられないもの、目的と手段など、情報を分けて配置することです。整頓することで一覧性が保たれ、話の脱線や思考が迷走したとき、本線に戻るコンパスとして助けてくれます。

 

机の上の書類同様、整理されて全てが必要なものだとしても、整頓されていない状態はシンプルではありません。シンプルさは相手の理解を迷走させない配慮でもあります。

 

3.整列とは?

 

最後に、「整列」です。

 

「整列」とは、「整頓」された内容に順序を割り当てた、結論まで飛躍のない説明力を備えた状態を指します。

 

順序を割り当て、意味を持たせるには、「そして」、「なぜなら」、「つまり」などの接続詞でつなげ、人の理解を置き去りにする飛躍を生じさせないことです。さらに付け加えると、比喩や具体例などを使った、相手がイメージしやすく納得性の高い結論への道筋と補完、補強がなされるのが理想です。

 

話が進んだり戻ったり、無用な余談が挿し込まれ、なかなか結論に至らない上司の話は耐えられませんよね。また、「あの話とその話がなぜ繋がるの?」と、聴き手の理解が置き去られる飛躍とあわせて、ビジネスシーンでは特に気を付けたい点です。

 

迷走を避けるため、型をいくつか身に付けるのが賢明でしょう。

 

一般的には、

  1. はじめに、結論を示す。
  2. 次に根拠を数点挙げる。
  3. さらに、具体例を示すことで根拠を補強する。
  4. 最後に、結論で締めくくる。

 

いわゆる、PREP法です。

 

PREP法は主にビジネスシーンで用いられる文章構成方法であり、簡潔かつ説得力のある文章を作成する際に用いられる。

 

PREP法における「PREP」とは以下の 

  • P=Point(結論)
  • R=Reason(理由)
  • E=Example(事例、具体例)
  • P=Point(結論を繰り返すの頭文字を取っている。最初に結論を伝え、次にその理由を説明、事例で理由を補強し、最後に結論を再度提示するストーリーを展開する。(Wikipediaより抜粋)

 

整列

 

整理までの過程を、すべて一筆書きで整えようとするのは非効率で現実的ではありません。寛容的に考え、迷走を自覚していれば、戻るべき論点を見失わずに幅広い視点を得るための機会と捉えられ、納得性の高い論理構築に役立つはずです。

 

つまり、発散と収束を繰り返すのが、豊かな論理の形成過程と考えています。

 

一切の無駄を許さないのは論理の奴隷です。適宜状況に応じた、柔軟な姿勢での試行錯誤の取組みが、納得感の高い結論に至る本筋であり、以下の「説明力」に影響を及ぼします。

 

論理と直感

 

説明のひと手間が論理的か否かの成否を分ける

 

説明とは、聴き手の理解の扉を開かせる、説明者側の責任の具体化です。

 

説明は「易しく」、そしてさらに「優しく」あることが理想です。

 

「易しさ」は、相手の理解を助けるため、言葉の選択が適切であること

 

聴き手が、自主的に理解の扉を開くためには、イメージと理解しやすい言葉の選択が明暗を分けます。相手の状態、興味と関心が何か、想像力を働かせて相手がつまずくポイントになりそうな箇所へ先回りすることが求められ、あわせて比喩表現などにも工夫が必要でしょう。

 

この点、個人的には茶の間を賑わす芸人たちの比喩をつくる技術、日常を切り取る着眼点、展開のつなげ方など、学べるものが多いと感じています。

 

「優しさ」とは相手の参加余白を残す配慮

 

説明が理路整然としていても、説明者側の一方的なマシンガントーク、聡明さを誇示したいだけの話では聴き手は自分の存在が放置されていることを機敏に察知します。そうなると、「論理的」の目的、「コミュニケーションを円滑に進めるため」に適わないことは容易にご理解いただけるはずです。

 

つまり、余白とは聴き手が自分の言葉で理解の隙間を埋めるための配慮です。

 

具体的には、

・要所で簡単な問いを与える。

・相手の目線で一緒に考え、促す。

・自分の言葉で説明をつくらせてみる。

などは有効でしょう。

 

人は、問いを与えられると答えを探そうとする性質を持ちます。また、隙間があると埋めようとします。問いを持つことで、理解の隙間を埋めようと自分で言葉を探しはじめ、その過程で深い理解に至ります。

 

自ら考え理解することは、納得、そして行動につながる条件になります。

 

シンキングタイム

 

温もりと深みのある「論理的」

 

以下は別ものであると、理解しておくことが賢明でしょう。

 

・論理的である

・論理的で『しか』ない

 

両者は、似ても似つかない、対局にあるものです。

 

論理的であることは、「目的」にはなり得ません。あくまでも、コミュニケーションや意思決定のための「手段」「条件」です。

 

人は、無駄や余白によって想像力がかき立てられ、そのことを楽しみながら豊かな意見を醸成する、知性と情緒性、そして社会性の高い生き物です。ゆえに、発散と収束を踏まえることが「表層的で薄い論理」を排除し、「温もりと深みのある論理」に至るための十分な過程であると考えています。

 

 

ここまでをまとめると、「論理的」とは、

  • 論点を定める:批判的思考を活用し、問いを定める
  • 整理する:集めた情報を要と不要に分ける
  • 整頓する:規則性に則り配置する
  • 整列する:接続詞でつなげ、比喩などを活用し、結論まで飛躍なく並べる
  • 説明力を備える:平易な言葉と相手の参加余白を残して整える

以上を兼ね揃えた、結果の状態です。

 

合意形成

 

おわりに

 

「論理的って、つまりどういうこと?」をテーマに、掘り下げてみました。

 

つまり、論理「的」とは論点(問い)に対する主張が構造的であり、結論まで示された、結果の状態。他に、「論理的とは、豊かなコミュニケーションを育むためのツールであり、演出」、「論理的とは、最善を模索する選択と挑戦の行為」とも言えそうです。

 

論理的とはどのようなことか、ご自身の言葉で定義されてみてはいかがでしょうか。

 

何ごとも、決めることから始まります。

 

参謀 青木 永一

 


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このコラムの著者:

参謀青木 永一

参謀の特長
ベルロジック株式会社 代表取締役 経営学修士(MBA)メンバーの中でも、異色の経歴を持つ。 前職は、事業者向け専門の「ナニワの金融屋」であり、30代後半までの15年間の経験の中で、約500社を超える倒産と間近に関わってきた。 自称 マネジメント数学研究家(暇さえあれば、ビジネスと数学の交わり方をユーモアたっぷりに伝える工夫をしている)。
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