- 参謀の特長
- 人材サービスのベンチャー企業において、企業法務を中心に経営管理業務を行う。企業法務だけにとどまらず、社内の管理体制の構築に従事。
コラム
参謀 岡田 将士
法的知識よりも常識・良識が大事という話
日々の業務の中で、「法的に問題ないか?」「法律に違反していないか?」と聞かれることがよくあります。
「法的にどうか」という質問自体が抽象的なので回答に困ることが多いですが、「・・・といったことをやりたいが、それが法律その他規制に抵触しないかを知りたい」という問題意識が、質問の趣旨かと思います。
本記事では、上記の疑問を持った際に参考になる考え方をご紹介したいと思います。
目次
そもそも法律とは
法律とは何でしょうか。辞書を引いてみると、秩序を維持するための規範、などと書かれていることが多いようです。
これだけを読むと、「法律は守らないといけない」「法律に従った行動をとらないといけない」と考えがちです。
こうした思考から、前段でご紹介した「法的に問題はないか?」という問いが生まれるものと思います。
法律以前に考えたいこと
前述のような問いが出るのは、法令遵守意識が高く素晴らしいことです。
しかし、私はこのような「そもそも法律ありき」という考え方以前に、大前提として考えるべきポイントがあると考えています。
それは「ご自身の胸に手を当てて考えたとき・相手/顧客の立場で考えたときに、その行動はどう評価されるか」というものです。
つまり、ご自身や一般的な常識・良識に照らしてその行為は妥当かどうか、という観点です。
なぜそのような観点で見ていただきたいかについて、以下の通りご説明します。
法律は変わる
「法改正」という言葉は、各種メディアでよく目にされたり、耳にされたりすると思います。
ここで一度考えていただきたいことがあります。それは「なぜ法律は改正されるのか」です。
法律が改正される理由は様々あると思いますが、大きな理由の一つは、そのルール(法律)が「時代遅れ」になってきた、というものです。
つまり、法律は、単に「こういうルールにしよう」という発想だけではなく、「世間的な考え方や慣習」がベースになっているのです。
こうした世間の考え方が変わってきたために、法律が改正される、ということです。
そして、この世間的な考え方こそが、一般常識や良識、と言えると思います。
つまり、その時代に合った一般常識や良識が、法律(法改正)のベースとなっています。
ここで、直近の法改正について考えてみましょう。
なぜ成人年齢が18歳に引き下げられる?
民法が改正され、2022年4月から、成人年齢が18歳に引き下げられます。
その理由について、法務省が出しているパンフレットには以下の通り説明があります。
近年、憲法改正国民投票の投票権年齢や、公職選挙法の選挙権年齢などが18歳と定められ、国政上の重要な事項の判断に関して、18歳、19歳の方を大人として扱うという政策が進められてきました。こうした政策を踏まえ,市民生活に関する基本法である民法においても、18歳以上の人を大人として取り扱うのが適当ではないかという議論がされるようになりました。世界的にも、成年年齢を18歳とするのが主流です。成年年齢を18歳に引き下げることは、18歳、19歳の若者の自己決定権を尊重するものであり、その積極的な社会参加を促すことになると考えられます。
出典)法務省『民法(成年年齢関係)改正 Q&A 「Q1 どうして民法の成年年齢を18歳に引き下げるのですか?」』
つまり、昨今の考え方や情勢に合わせて、今回民法が法改正された(成人年齢を引き下げる)と言えます。
法律とは
「法的にどうか」「この行為は法律やその他ルールに抵触しないか」という問いに対しては、まず第一段階として、法律の知識はなくても、回答の方向性は見えると思います。
ご自身や周囲の方の常識や良識に照らしてどうか、を考えることで、問題の有無がある程度わかるのではないでしょうか。
法律を守ること、その知識を持っていることは非常に重要です。
しかし、その法律の元となる考え方、常識・良識を考えることもまた非常に重要であり、かつ実践的であると考えます。
参謀 赤尾 真史
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