コラム

参謀 青木 永一

態度を装う器量のなさが与える自分と周りへの悪影響について

嫌い

 

人を嫌いになる。

おそらく、誰もがそのような経験があるでしょう。

 

プライベートな関係ならば、自分の思うままにどのようにでも対応すればいいと思います。

 

例えば、

一定の距離を保つ。

適当な応対でやり過ごす。

一切無視。

など。

 

ですが、仕事の場面ではそういうわけにもいきません。

※注:当コラムは、何らかのハラスメントを受けている場合に関する内容のものではありません

 

心の中の処理として密(ひそ)かに距離を保つことは問題ありませんが、露骨な無視や顔色、声音を極端に変えてその場をやり過ごすような応対をしていると、あなたの仕事に対する姿勢が疑われます。また、そのような態度を露(あらわ)にすることで業務の進捗に支障をきたすようなことがあれば、他のメンバーに迷惑をかけることにもなるため、ビジネスパーソンとしては平穏を装う器量が必要です。

 

とは言え、なかなか苦しいところもあるかもしれません。取るべき対応を理解していながらそれが装えないことで無用なストレスを感じ、胃が痛くなることも少なくないと思います。

 

人間の行動は、理屈よりも感情を優先してしまうことのほうが多いのも事実です。また、困ったことに嫌いな人の前での自分の反応は、意外に自分では理解できていないにもかかわらず、他人には顔色や音声、仕草などから察知されていることも少なくありません。

 

「もしそうだとしても、その人が嫌いだから仕方がないじゃないですか」と、言いたくなる気持ちはよく理解できます。しかし、その応対の拙(まず)さが、そのまま自分の性格の醜(みにく)さでもあることを理解しなければなりません。

 

先ほども言いましたが、態度を装えていない事実は、周囲の人たちは意外と察しています。このことは、あなたの態度を静観している人たちの推測によって、悪態を露呈させる稚拙な人物であると判断されてしまう危険性を孕(はら)んでいるということです。

 

周囲の人たちが、あなたの態度を見てどのように感じたか、わざわざ伝えてくれることは稀でしょう。それでも伝えてくれる人がいたとして、あなたが「仕事上の関係にしか過ぎませんから」と割り切る態度を見せたなら、なおさら危険です。

 

お節介ではあったとしても、あなたに忠告する側は、あなたから「余計な推測をしないでください」と煙たがれる可能性を理解しています。そのうえでの忠告ですから、あなたがそのような態度を取ると、相手にとっては面倒に感じ、そのうち消えてなくなる存在として認識され、今後の関わり方に予防線が張られる可能性もあります。

 

顔色や声音、仕草などから、周囲は思っている以上に多くのことを察していることを理解し、そこからあなたの子どもっぽさや性格の悪さを推測されないように、たとえ嫌いな相手であったとしても業務コミュニケーション上のエチケットとして理解しておくべきです。

 

子どもっぽさは、誰もが持ちあわせているものです。しかし、事実として子どもではありません。

 

誰かから、「ガキの使いで仕事をしているわけじゃあるまいし……」などのように陰で呆れらた態度や評価がなされてしまうと、中長期的には損をするのはあなたのほうであると考えるのが賢明です。

 

好き嫌いは誰にもありますが、仕事での取り組みにあなたの個人的な好き嫌いなんてまったく関係ないものです。

 

つまり、不躾な個人的感情をわざわざ会社に持ち込まないこと、それがビジネスパーソンとしての最低限のエチケットではないでしょうかという提言です。

 

陽気は意思の力です。

意思のない人の仕事は信用ができません。

 

感情の奴隷のような態度を示す相手には、誰も近寄りたいと思いません。

 

当然ですよね。

 

大切なことなので繰り返しますが、周囲の人たちはあなたが示す態度からいろいろな情報を敏感に感じ取ってます。そのことに対する鈍感さ、また装う器量のなさが命取りとならないためにも、ご自身の業務コミュニケーションを今一度見直すきっかけになれば幸いです。

 

参謀 青木 永一

このコラムの著者:

参謀青木 永一

参謀の特長
ベルロジック株式会社 代表取締役 経営学修士(MBA)メンバーの中でも、異色の経歴を持つ。 前職は、事業者向け専門の「ナニワの金融屋」であり、30代後半までの15年間の経験の中で、約500社を超える倒産と間近に関わってきた。 自称 マネジメント数学研究家(暇さえあれば、ビジネスと数学の交わり方をユーモアたっぷりに伝える工夫をしている)。