- 参謀の特長
- 人材サービスのベンチャー企業において、企業法務を中心に経営管理業務を行う。企業法務だけにとどまらず、社内の管理体制の構築に従事。
コラム
参謀 岡田 将士
その事業、今後も続けていけますか? ~「リスク」を考えることの大切さ~
事業を進めるにあたって何を考えますか?
・事業に必要な資金はいくらなのか。
・そのための現金はあるのか。
・その事業は本当に儲かるのか。
・投資回収はできるのか。
・うまくいかない(いった)のはなぜか。
・どのような改善策を打てばよいのか。 等々
色々考えることがあると思います。
このように考えることが多数ある中、つい後回しになりがちなものがあります。
それは、事業を進めるにあたって、
「どのようなリスクが想定されるのか。」
「そのリスクをどうやって低減・回避するのか(あるいはリスクを保有したまま進めるのか)。」です。
目次
「リスク」とは何か
ビジネスにおいて、リスクとは「不確実性」のことをいいます。
つまり「必ず損失が発生する」という場合は、損失の発生は確実なのでリスクはない、ということになります。
必ず損失が発生するとわかっていれば、事前に手を打つことができるからです。
事業に損失を与える事象が発生した場合、事前に手を打っておかなければ後手の対応にならざるを得ません。その場合、損失が拡大してしまう可能性があります。
不確実な事象をあらかじめ想定しておけば、その事象が顕在化した場合は「想定内の事態」となります。
この場合、事前に手を打っているため、何ら恐れるに足りないものとなるのです。
「リスクを考える」ということ
事業が今後も継続できるか否かは、経営陣の力量によるところもありますが、外部環境や社内の状況(内部環境)に大きく影響を受けます。
つまり、リスクを考えるにあたっては、今後の外部環境と内部環境の変化を考えることが有益です。
旅行代理店事業を例に考えてみましょう。
この事業は、円高の影響もあり近年海外への旅行者数が増え、ここ数年は安定的にキャッシュを生んでいます。
この事業はこの先も好調に継続していけるでしょうか。
仮に円安になった場合を考えてみましょう。
円高であることから、お得感を感じて海外旅行をしていた人は、円安になれば海外旅行を控えるかもしれません。
その他、海外でのテロ事件が頻繁に報道された場合はどうでしょう。
危険なところへ行くのは控えようという意識が働き、海外旅行者数が減少する可能性は高くなると考えられます。
このように、外部環境の変化が、事業に与える影響は非常に大きいのです。
内部環境についても考えてみましょう。
例えば、社内での違法行為が発覚し、行政から事業停止処分を受けた場合、事業を停止せざるを得ない状況になります。
その他、資格者を必要とする事業である場合、当該資格者の退職も、事業継続にダイレクトに影響するでしょう。
「リスクとの付き合い方」を考える
前述の通り、事業のリスクを考えることは非常に重要です。
リスクを考えた後は、そのリスクとどう付き合うのか、を考えることになります。
具体的には、
①リスクを減らすのか
②リスクを回避するのか
③リスクを自社以外に移転させるのか
④リスクを保有するのか
です。
前述の旅行代理店事業で考えてみましょう。
①リスク低減
円安になる可能性を事前に把握していれば、海外旅行だけではなく国内旅行(外国人旅行者向けを含む)にも注力し、事業のリスクを分散させることができます。
②リスクの回避
そもそも複数事業を営んでいる会社であって、旅行代理店事業の占める割合が小さい、という事情があれば、旅行代理店事業から撤退することも一案です。
③リスクの移転
ケースによっては、保険でカバーし、リスクを自社から保険会社に移すことができる場合もあるでしょう。
④リスクの保有
また、リスクが顕在化した場合の損失が微々たるものであれば、そのリスクを抱えたまま事業を進める意思決定も当然にあります。
以上のように、事業にどんな影響があるかを把握しておけば、それに対してどのような対策を打っておくべきか、そのリスクは保有しておいてよいものか等々、リスクへの適切な対応を考えることができるのです。
事業が軌道に乗っているとき、ついリスクを考えることがおろそかになりがちです。
一度立ち止まって、外部環境と内部環境の変化を見て「リスク」を考えることが、今後も事業を継続する上で重要と言えます。