コラム

参謀 利田 幸弘

論理思考の必要性と考え方

「論理思考」、物事の考え方として、ビジネスのなかで一度は耳にする言葉です。この思考ができれば、相手に納得感のある説明ができますし、単純にかっこいい、頭がいいといった印象を抱かれます。この類の本が数多く出版されていることからもニーズが高く、身につけることのメリットを多くの人が感じていると思われますが、今回はそもそもなぜそれらが必要なのかについて見ていきたいと思います。

 

 

全ては目的から始まる

 

何かをする時、人には意識、無意識を問わず目的があります。目的とは達成したい事柄です。達成に向けて人は行動します。

そうした様々な行動の積み重ねが1日の動きに反映されます。例えば下記のようなイメージです。

・目的:会社に遅刻しない

・行動:〇〇時発の電車に乗る

 

・目的:楽しく健康的になりたい

・行動:昔やっていたテニスを趣味として再開する

 

これは仕事とプライベートどちらにも当てはまります。全ては目的から始まると書いたように、私たちは日々何かしら達成したいことがあり、それに向けて行動しているのです。

 

 

目的と行動はすぐに直結しない。

 

日常的に行っていることなら、何をどうすればいいかはわかっており、先ほど記載した例のようにすぐに行動に移せます。

 

また、目的をすぐには達成できないけれど、どのように行動していけばいいかがある程度わかっている場合、苦労はあまりありません。

RPGゲームを例に考えてみましょう。目的は世界の平和であり、魔王を倒すことが最終の行動です。そこに至るまでにはまずレベルを上げたり、仲間を集めたり、アイテムを取得したりといった多くの取り組むべき事柄があります。ただ、これらはストーリーの進行に合わせて進んで行けば、今何をすべきかがわかるようになっています。

 

しかし、現実では全ての目的が、すぐに行動まで落とし込まれるわけではありません。順序立ててわかることもありません。例えば、会社からの評価を上げたい、従業員が楽しみながら働ける職場環境を作りたい、住宅を購入したいなどです。これらは目的を達成しようとしても何からどう手をつけていいかわからず、思考が止まる状態に陥ります。そうなると、人は目の前の打ち手に飛びついてしまいがちです。それは過去の事例、経験則、ネット検索などです。目的を達成するために他の案を出そうとして会議は開くものの、「会議は踊る、されど進まず」といったように、意見は出るが何をするかまでは根拠に乏しく何も決まらないこともあります。

 

この状態から脱却するには、「目的のために何をするべきか」という問いを立てることが何より重要です。

 

 

目的から行動までを導く手段が論理思考

 

この「どうしていいかわからない状況」から問いを立てて答えを出すスキルが、冒頭で述べた「論理思考」です。身につけて活用することで、目的に向けて行動できます。論理思考はロジカルシンキングやクリティカルシンキングとも呼ばれます。厳密にはこの2つにも違いはありますが、それはまた別の機会で触れます。どちらも問いを立て、筋道立った合理的な思考、その方法論を指しています。「筋道立った」とは、主に主張と根拠の因果関係が合っているかどうかです。筋道の組み立て方を誤るということは、論理思考ができていないということです。

 

 

論理思考は「問い」を立てることから始まる

 

目的達成のための筋道は、まず「今何をするべきかという問い」を立てることから始まります。なぜなら、そこから見出された結果から、「次は何をするべきか」というサイクルを回し続けることで目標達成に近づいていくからです。そのため、まず「問いを立てること」は目的達成のための第一歩になります。この1つ目の「問い」を間違えると、目的達成の筋道から大きく外れてしまいます。ただこれが非常に難しいです。最初は「目的達成のための問い」ということを意識していてもそれが途中で抜け落ちたり、自分の中では「目的」と「問い」が整合しているつもりでも気づかぬうちに筋道から外れた「問い」にすり替わったりしてしまうこともあるからです。

 

 

 

課題を解決する問いの種類

 

問いを立てるにしても、何をどうすればいいかを考えなくてはなりません。構成要素は主に下記です。

 

・「問い」である以上は疑問文でなくてはならない。

・「文」なので主語と述語で構成されなくてはならない。

・疑問詞は一つが好ましい。

・疑問詞はwhat where why howで回していく。

 

特に最後の要素がポイントです。そもそも目的達成のために「今何が起きているのか」を確認しなければスタート地点がわかりません。

あなたが社長だったとして、目的が自社の成長とします。売上は伸びているが、利益が減っていることがわかった(what)として、利益率が悪いのはどこか(where)、なぜそこの利益率は現在悪いのか(why)、ではどのように改善していくか(how)、ここまでの筋道を立てたうえで行動に移していかなければなりません。

目の前にある事象だけに飛びついてその打ち手を考えたり、経験則だけで決め打ちの対処をしたりするなど、筋道を立てることができない理由は、把握すべき問題を間違えていたり、どこがダメなのか理解していないためです。

 

 

まとめ

 

問いを立て、結論を出し、さらに別の問いを立てて目的を達成させる行動へと導く流れはここまで述べた通りです。目的を達成したい、でも何をしていいかわからない場合、人は悩みます。その時、思考は停止しており、物事は進みません。それを動かすためのスキルが論理思考です。論理思考は「問い」と「結論」のサイクルです。「問い」から「結論」を導き出すまでの方法は今後触れたいと思います。まずは何事も目的を意識し、今何を明らかにしたいのかを日々意識してみてはいかがでしょうか。

このコラムの著者:

参謀利田 幸弘

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