- 参謀の特長
- ねこのて合同会社 代表 資産運用のアドバイスを柱とするファイナンシャルプランナー、保険代理店、金融商品仲介業
コラム
参謀 横山 研太郎
社員への金融教育は一種の福利厚生になる時代
超低金利時代が続き、少子高齢化が進展する中、老後生活に不安を感じる人が増えています。弊社にも、「老後の生活費が不足しないか」「どうすればより多くの老後資金を準備することができるか」といった問い合わせが来ています。
私の個人的な意見ですが、その解決につながるひとつの手段が「会社による社員への金融教育」ではないかと考えています。
目次
年金の目減りなどは避けることができない
今の日本は、超低金利と少子高齢化の進展に悩まされています。
低金利であるため、個人の預金はほとんど増えず、老後生活を支える柱である年金も少子化と低成長で目減りすることが確実視されています。その一方で、長寿化が進んでいるため、老後の生活費はかさんでいくという状況です。
人口減少に歯止めがかかり、再び経済成長が進んでいけば、状況が好転するかもしれません。しかし、そうなる可能性は高くないでしょうし、なるとしてもかなり長い時間をかけなければなりません。
ということは、今働いている現役世代は、年金が目減りすることなどに準備する必要があると言えます。
「貯蓄から資産形成へ」と言われるが…
国は、老後資産を準備してもらうために、資産形成をするための施策を次々と打ち出しています。ここ最近でも、NISA制度の導入・延長、個人型確定拠出年金(iDeCo)の導入など、個人が自助努力で資産形成をするための環境は整ったと言ってよいでしょう。
しかし、資産形成をするためのノウハウが個人にあるとは言えません。上手に資産形成をするためには、保険や株・投資信託といった金融商品を適切に選ぶ力が必要ですが、お金のことを教わったことがない人たちには非常に難しい作業です。現に、弊社に相談に来られた方には、明確な理由もなく、金融機関からすすめられるままに金融商品を選択してしまっているケースが少なくありません。
会社が社員の老後のためにできることのひとつが「金融教育」
では、会社が社員の老後を支えてあげることができるのでしょうか。
もちろん、給与水準をあげたり、退職金を多くしたりといったことは助けになりますが、そんな余裕のある企業はほとんどありません。その代わりに、「老後資金を作る手段」を与えればよいのです。
もし、会社が「正しい資産形成を学ぶ機会」を提供してくれたとすると、何も知らずに生活している場合よりも、より豊かな生活ができる可能性が広がるのです。
つまり、同じ年収500万円であっても、金融教育をしない会社と金融教育をしている会社とでは待遇に差があると言えます。
どのように金融教育を提供すればいいのか
金融教育をしようにも、社内に講師として最適な人材がいることは稀です。金融教育をするには、外部に委託するしかないでしょう。
ただ、銀行・保険会社・証券会社などの金融機関がセミナーをしてくれるのは、社員の多い大企業くらいです。しかし、だからこそ、より適切な金融教育を提供できるチャンスがあります。
金融機関がセミナーをする場合、無償である代わりに自社の商品をPRする場に使われてしまうケースが多いようです。それでは正しい金融教育をすることができません。正しい手法を教えてもらえるよう、会社がセミナー料金を支払って、預金・保険・投資のすべてに精通したプロにセミナーを実施してもらうのです。
ただ、依頼する価値のあるセミナー講師はあまり多くありません。貯蓄・保険・投資などのすべてを網羅することのできる人でなくてはならないためです。
特定の金融機関に所属しているのではないファイナンシャルプランナーが候補のひとつになりますが、充分に知識を持った人は決して多くありません。知識が特定分野に偏っている人が多いためです。
保険に強い人物であれば、投資についてどれだけの知識を持っているか、投資に強い人物であれば、保険をどうやってプランニングすればいいのかを確認してみるのが良いでしょう。また、投資はうまくいかない可能性もありますが、投資成績がよくないときにはどうするのかといったことを聞いてみるのも効果的です。「積立投資をしていれば大丈夫です」としか言えない人は論外です。
社員の生活を間接的に、一生涯、守ることができる
会社と社員の関係は、退職してしまえば終わってしまうものかもしれません。けれど、現役世代の間に積み上げた貯蓄で老後の生活を送るということは、間接的に老後の生活を支えていることにもなります。
会社が社員に対し「限られた給与の中でも、できるだけ豊かな生活を送ることができるように」と金融教育を提供してくれるのであれば、社員の生活を一生涯守っているとも言えるでしょう。
こういった取り組みは、「同じ給与でも、実質的には待遇の良い会社」、「本当に社員のことを大切にしようとしている会社」といった評価にもつながるのではないでしょうか。