- 参謀の特長
- 10名前後の管理職としてマネジメント業務を行いながら現場業務にも携わるプレイングマネージャーとして、ECサイトにおける企画から運用・広告といった全般の業務に従事。 今までの現場の実務経験にMBAの学びをプラスし、経営現場をサポートします。
コラム
参謀 闇雲 卓
なぜ「デザイン思考(Design Thinking)」が注目されているのか
最近、仕事の現場やインターネットなどで「デザイン思考」という言葉を聞いたことはないでしょうか。
「デザイン思考ってデザイナーの考え方かな?」
「デザイナーの仕事でしょ。」
「デザイナーじゃないから自分の専門外だな。」
などと思っている方も多いでしょう。
「デザイン思考」は、デザイナーだけでなく我々のような(デザイナーではない)ビジネスマンにも活用できます。
実際に様々な企業で取り入れられ、AppleやGoogleなど、世界を先導する企業がイノベーションを創出するために実践しており、ビジネスの世界で大きな注目を集めています。
もちろん、何事に対してもこの手法が通用するわけではありませんし、個人によってしっくりくる・しっくりこないといったことがあります。
しかし、ビジネスの手法の一つとして「デザイン思考」とは何なのかをおさえておくと、新製品や新規事業など、特にアイデア創出や課題解決のときに必ず役立ちます。
そのために、「デザイン思考」がなぜ注目されているか、どういうものなのかを先ず把握しておきましょう。
目次
「デザイン思考」が注目されている背景
これまでの社会は、新しいもの・よいものをつくれば売れていた時代でした。
新しいものが出てくる度にみな 心を踊らせ、新鮮に感じられればそれだけで満足し買っていました。
しかし、現代では技術の急速な進化により、ものが溢れ、とても便利な社会となり、スマートフォンとお金さえあれば、望むことはたいてい叶えられるようになりました。
我々は溢れるほど提供されるものの中から、欲しいものだけを選び取れる時代となったのです。
これまで受動的だった時代が、能動的な時代へと変わったのです。
このような便利な現代で、ビジネスをするには、新しいものをつくるだけでは売れません。
選んでもらえるように、誰の手に渡って欲しいか考える必要があり、さらにしっかり狙いを定める必要もあります。
そのために、ユーザー視点に立って考えなければ、手にも取ってもらえないのです。
もっと言うと、作り手の都合による「モノ」の時代ではなく、ユーザー視点から「モノ」だけではなく「コト」=体験/感情をつく る時代となっているのです。
つまり、「ユーザーが買うもの自体」よりも「それを買って何ができるのか・何をするのか」という体験の部分がより重要 です。
そういった時代の潮流から、人間を中心とする「デザイン思考」が注目されているのです。
デザイン思考とは
「デザイン思考」とは、世界的に有名なデザイン・ファーム「IDEO」が提唱した問題解決のプロセスと言われ、デザインに必要な思考方法と手法を利用して、ビジネス上の問題を解決するための考え方です。端的に言うと、「人間を中心とした問題解決のためにプロセス」です。
しかし、「デザイン思考」の「デザイン」という言葉の印象から、ピンとこない方も多いでしょう。
「デザイン」というと、ファッションやグラフィックなどの見た目やカタチといったイメージをもちますが、「デザイン思考」でいう「デザイン(Design)」は「設計」です。
単にクリエイティブな行為だけではなく、実際に問題解決そのものを行います。
「デザイン思考」は、人間の欲求に寄り添い、解決する、誰にでも身に付けることができるアプローチです。
- デザイン ≠ カタチ
- Design = 設計
「デザイン思考」で最も重要なのはマインドです。
- 常に人間中心
- 「モノ」より「コト」中心 ⇒ 人間の体験価値
- まずつくって試してみる
この3つが「デザイン思考」のマインドです。
なかでも一番のポイントは「常に人間中心」です。
よく企業(特にメーカー)で起こりがちなのは、ユーザーではなくビジネスとテクノロジーばかりを見過ぎてしまうことです。
ユーザーを見ないで、数字や作り手の技術ばかりを見ていると、ユーザーが求めていることとマッチングせず、ユーザーに選んでもらえないという経験は誰もがあるのではないでしょうか。
ただし、1点注意が必要です。
ユーザーのことをよく見ることが重要ですが、ユーザーの声に振り回されてばかりでもいけません。
このことは別のコラムで取り上げる予定ですので、そちらで詳しく説明します。
デザイン思考のプロセス
「デザイン思考」のプロセスは次の通りです。
Empathize:共感
ユーザーと共感する。ユーザーインタビューなどを通じて、ユーザーとの共感を通じて、ユーザーを知る。
Define:定義
「Why?なぜ?」を突き詰め、本質的な課題を定義する。
Ideate:創造
「Why」を解決するアイデアをできるだけ多く創造する。
Prototype:試作
Test:評価
アイデアを造ってみて試し評価する。
これらの詳細は、別コラムでピックアップする予定です。
このプロセスのように、アイデアの発散・収束をできるだけ早く回し、どんどん試し、評価していきます。
検証・改善を繰り返し、試行錯誤しながら、最終的にクオリティの高いアウトプットを目指します。
最後に、デザイン思考は、プロダクトを作る以外にも、プロジェクト進行や組織課題を考える時など、あらゆる場面で活用できます。
デザイン思考は、既存のやり方では生まれない革新的なアウトプット・イノベーションに繋がっているのです。
今回は「デザイン思考」の概要をまとめてお話ししましたが、それぞれ別コラムでも説明する予定です。
興味を持たれた方はそちらもご参考ください。