コラム

参謀 山尾 修

従業員のメンタルヘルスを守る -いつもと様子の違う従業員を探すポイント―

「ブラック企業」、「働き方改革」・・・最近、労働環境に関するキーワードが話題になっています。今後、労働人口が減少していくとの予測が見込まれている中、小規模企業といえども従業員の労働環境には配慮をしていくことが重要となってきます。

 

人事担当者が一人ひとりの従業員に目を配りながら・・・理想はその通りですが、小規模経営においては大企業のようにきちんと人事部が確立されているケースは稀です。

また、部門ごとに部長がいてその下に課長がいるといったように、各階層にきちんと責任者がいるような組織構造を採用するほど従業員数が多くないケースあることも良く見られます。

 

小規模経営では人事部門の設置どころか、社長が社長業はもちろんのこと、人事部長も経理部長も、営業部長・・・全て兼務しながらなんとか会社を運営しているといった現実が多分にあります。

そのため、わかっていても「日々、細かく従業員一人ひとりの状態を確認しておく」という理想には程遠いということが、小規模企業経営者の悩みではないでしょうか?

 

しかし・・・万が一でも従業員に問題が起きた場合にはどのようなことが考えられるでしょうか?

まず従業員本人は当面、生き生きと働くことができなくなります。また会社としても従業員数が決して多くない中で一人ひとりに任される業務範囲が広いため、長期の休職者がでると他の従業員で穴埋めすることが容易ではない現実があります。

新たに人材を補充するとしても戦力化には時間が必要ですし、そのような状況では教育もままならず、悪循環スパイラルに陥ってしまう可能性が考えられます。

 

とは言っても、多忙を極める小規模企業の経営は、状況全てをチェックすることは現実的ではありません。しかし、ポイントとなる項目に絞って従業員の状況をチェックすることで、問題の兆しを早期に掴むことはできないでしょうか?

 

このような時に、まず優先的に見るべきポイントは3つです。

1.従業員の労働時間:長時間労働になっている人に注視

2.強度の負担を伴う業務を担う人

3.個別の配慮が必要と思われる人:離婚や親族の不幸、昇進など環境の変化があった人

 

 

1の労働時間について。

特に長時間労働はストレスに直結しやすく、長時間労働が常態化している従業員は、注視することが大切です。

2の業務負担が大きい場合も、1同様にストレスに直結しやすくなります。

そして、3のような心理が不安定な状態にある従業員にも注意が必要です。

 

まずは上記のような状態にある従業員から優先的に確認を行い、場合によっては業務内容の見直しなども行うことが必要となります。

 

従業員のためにも、そして会社のためにも、彼らの変化の兆しを早めに掴んでいくところからスタートしてはいかがでしょうか。

山尾 修

このコラムの著者:

参謀山尾 修

参謀の特長
大学卒業後、20年以上にわたって電機メーカーにてモノづくりに従事。管理畑を中心に経験を重ね、新興国での海外赴任も経験するなど、モノづくりの上流から下流までを経験。それらの経験を活かして、現在は赤字事業の経営再建に取り組み中。 自らの経験にMBAの経営理論を加え、経営現場をサポートします。