コラム

参謀 青木 永一

固定観念の呪縛をひも解くカギは、世代を超えた人気アニメキャラクターの正体にあり!【後編】

本コラムは、【前編】 【中編】 【後編】に分かれています。

お時間の許す時に、それぞれをご自分のペースで読み進めてください。

 

【前編】 【中編】からの続きで、以下に固定観念を少しでも払拭させるための具体的な方法や、普段から気を付けるための未然策をお伝えします。

 

 

例えば、自分の思惑と異なる意見が出た場合には、

その意見に至る背景を聞かせてもらえれば、私の理解が追いつけると思います

 

のように、相手の認識や関心の起点と文脈=物語を理解する姿勢を持つことが、はじめの一歩になります。

 

そのためには、惰性的で硬直化した自分の判断を一旦は脇に置くこと、もしくは疑問符をつける勇気を持つことです。

 

ビジネスにおける組織内の環境整備と、目的を果たそうと強く意識する賢明なビジネスパーソンならば、自身の行動にどのような変化が必要かは理解できるでしょう。

 

時間効率を意識し、ロジカルに考えることは特にビジネスにおいてはとても大事で、ビジネスパーソンとしては重要な要素です。

 

ただし、

  • ロジカルに考えることと、ロジカルに考えることだけが正解だと考えること。
  • シンプルに考えることと、シンプルにしか考えられないこと。

それぞれは、似ているようで異なるものです。

何が異なるか。

 

アウトプットに至る道筋、根拠の豊かさだと私は思います。

 

思考は自分の持つ語彙からしか発想ができません。

同じように、ロジカルに考えることも、知らない道筋をたどる思考のアウトプットはできません。

 

提案したいのは、

相手の語彙、起点と文脈を取り入れるしなやかな姿勢を持ち、直面している問題への取り組みを、意識的にパターン化された道筋以外で挑むこと。

 

他人の思考との合作と言えるかもしれません。

 

なぜ相手が、同じ議題に取り組みながらも、違和感を抱くような発想や発言に至ったのか。その背景を解像度高く理解しようとし、建設的な質問によって掘り下げ、自分の価値観との相違と融合を楽しむのです。

 

事後的に改めて、受け入れるものと受け入れないものを分ければいいことですし、その価値観の違いを認識しあうことは新たな関係性を構築するうえでは重要なことです。

 

「違い」を認識する対象となる価値観は、他人の価値観だけではなく、自分自身の中に静かに巣食う硬直化した価値観でもあります。

 

自分の硬直化した価値観、これは極論すればこれまで積み上げてきた「過去の蓄積物」以外の何物でもありません。

 

自分の硬直化した価値観に自覚的になれば、他人への寛容度も高まることでしょう。

 

 

多様性の意味で使われる「ダイバーシティ」とは、これら一連の取り組みであるため、過去の価値観に固執する組織慣習では、より良い違いが形成されるとは到底思えません。

 

自分ごととして取り入れていくためには、常にアップデートされている他人の物語を理解しようとする好奇心と、環境変化を積極的に受け入れるための具体的な行為が求められます。

 

 

変化のために、具体的に何をどのように変える?

 

以下の3点は、具体的な行動変化の提言として書籍などではよく伝えられているものです。。

  • 時間(お金)の使い方
  • 会う人
  • 住む場所

 

なるほど、確かに上記3つを変えることで環境が変わり、大きな効果がありそうです。

しかし、今直ぐに取り組むには、敷居が高いようにも思えませんか?

 

もう少し手軽に変えられるものとして、私ならば以下3点から始めてみることをお勧めします。

  • 読む本
  • 食べるもの
  • 行き道、帰り道

 

いかがでしょうか?

簡単で即時的ではないでしょうか。

 

以下、簡単に説明したいと思います。

読む本について

思考は自分の中の語彙をはみ出せないことは既にお伝えしました。そのため、本から得られる情報によって形成される言葉や知識は決して侮れませんし、新しい言葉に触れることで使う言葉が変わる可能性は小さくないはずです。

 

これまでの自分の選書傾向からあえて外してみることは、手軽に行える冒険です。投資する金額もせいぜい2000円前後ですし、失敗した場合はメルカリなどで転売すれば損失はほぼないと言えるでしょう(売れない場合は残念ですが)。

 

「既知の語彙」を脱し、新しい語彙を身につけるにはとても効果の高い、そしてリーズナブルな方法です。

 

食べるものについて

食べるものについては、五感のうち特に味覚が刺激されることから、直接的に脳に強い刺激を与えますし、これまで味わったことのない美味に触れることは、人が一番手軽に「幸せ」を感じるものではないでしょうか。

 

味の感じ方がこれまでのものと異なれば、「美味しい」や「旨い」の表現に幅を持たせて的確に表現しようとするのは、純粋な楽しみ方の一つではないかと思います。

 

「既知の表現」から脱するための身近で手軽な方法として、人間の生活に必須の「食」を素材にすることは、効果的な手段になるはずです。

 

行き道、帰り道について

さらに、積極的に通勤などの行き道や帰り道を気分で変えてみることで、見慣れない風景から得られる、視覚や聴覚などへの新鮮な刺激が期待できます。

 

「違い」を受け入れる、寛容さの感度を高めるための、お金のかからない効果的な方法だと思います。

 

好きな音楽を聴きながらだと、より一層、異空間の情緒的な「雰囲気」を味わえるかもしれません。

 

 

まだ他にも挙げればいろいろとありますが、身近で手軽に行える冒険、トレーニングとして以上の3点を是非とも手始めに試してください。

 

 

慣れ親しんだ「これまで」以外の物語に好奇心を持ち、新しい関係性を築くための行動に自主的に具体的な変化を起こすことができれば、より良い違いのある未来はもうすぐそこです。

 

 

おわりに

 

「未来は不確実である」

 

この言葉を、不安を煽るものとして捉えるか、楽しめるネタの宝庫であることへの示唆として捉えるか。

 

まだ見ぬ未来に対する正しい備えは、関係性の輪にしなやかさ(相互に謙虚さ)と、潤い(相互に認め合う)を持たせて、豊かにしておくことです。

 

 

固定観念は、とても強い「制限」となります。その制限を紐解くカギは、自分の不足を知る者同士が「共に創る」を条件としたアイデアの発明と考えれば、その同士の関係性こそが「ドラえもん」なのかもしれません。

 

奇しくも92年後の今日(当コラム投稿日)、2112年9月3日は「ドラえもん」の誕生日です。

 

22世紀のような遠い未来ではなく、明日の未来を良くすることが、現在を生きる私たちビジネスパーソンの任務だと私は考えています。

 

 

ちなみに、

剛田と野比はその後、改めて向き合い、言葉の遠慮をせずにお互いの課題意識を共有しあい、相互補完の重要性を理解してもらえました。

 

現在、それぞれの強い癖(くせ)は残るものの、今日も相互に補完し合いながら、未来のために行動と言動に小さな変化を自発的に生み出しています。

 

参謀 青木 永一

 

このコラムの著者:

参謀青木 永一

参謀の特長
ベルロジック株式会社 代表取締役 経営学修士(MBA)メンバーの中でも、異色の経歴を持つ。 前職は、事業者向け専門の「ナニワの金融屋」であり、30代後半までの15年間の経験の中で、約500社を超える倒産と間近に関わってきた。 自称 マネジメント数学研究家(暇さえあれば、ビジネスと数学の交わり方をユーモアたっぷりに伝える工夫をしている)。