コラム

参謀 青木 永一

固定観念の呪縛をひも解くカギは、世代を超えた人気アニメキャラクターの正体にあり!【中編】

本コラムは、【前編】 【中編】 【後編】に分かれています。

お時間の許す時に、それぞれをご自分のペースで読み進めてください。

 

【前編】からの続きで、以下に身近な例で自分の中に潜む、そして未来の可能性を巣食う固定観念を観察してみましょう。

 

 

社会人になった剛田(ジャイアン)と野比(のび太)の営業会議

 

不動産会社の営業会議で実際にあった話の一部を、わかりやすいように脚色を加えてお伝えします。

 

名前と性格をわかりやすくするために「剛田(ジャイアン)」と「野比(のび太)」としましょう。

 

剛田は常に強気で、自分の正義を押し付けてくる傾向が強いが、不器用で涙もろく憎めない存在。ただ、やはり周りからは迷惑だと感じられることは多い。

 

野比の性格は穏やかで争うことは極力避けたいけど「ここぞ」という時の責任感は強い。

 

ざっとこんな感じで理解してください。

 

さて、

剛田が「顧客への販売力強化対策」について、若手社員数名含めて営業会議を行っている場面を想定してください。

 

話をわかりやすくするために、言葉の表現を強めに書いています。

 

剛田:新規契約が伸び悩んでいるけど、見込顧客とのアポイント回数やクロージング(契約)までの期間短縮について今月の残り日数の予定と目標を聞かせてもらいたい。

 

野比:最近、お客様と会話をしていて、明らかにこれまでと違うと感じるのは、やはりこの環境下(コロナ)では大きな買い物だけに購入のタイミングを見図ろうとしている様子がすごくわかるし、実際お客様もそう仰る。購入自体は前向きに考えているけど、35年の返済を後押しできる材料がないから、こちらとしても無責任には大丈夫とも言えないよね。ま、そうなると新規契約が伸びないことになるけども・・・

 

剛田:野比、何が言いたい?

 

野比:お客様の環境、いや、もうそれこそ経済や社会と言った大きな取り巻く環境の様相が異なるから、今までの営業力が通じないことを危惧していて、そのことを話しておきたかったんだ。

 

剛田:野比、ここで意見を述べるのは、販売力の強化対策に絞ってもらいたい。

 

野比:わかっている。でも、状況の前提を共有して理解しておかないと、地に足の着いた実用的な方法の話にならないんじゃないか?

 

剛田:意見が散って、時間内に会議が終わらないことにはこの後の営業に響くぞ。そうなるとまた、契約数が伸びない話の繰り返しになる。そんなのは不毛だ。

 

野比:剛田、今の状況での営業は、これまでのようにお客様の背中をどのように押すかの方法についてではなく、もう少し手前の「なぜ」の部分を掘り下げて、そこから別のアプローチを検討しないことには、来週もまた同じ方法論についての営業会議の堂々巡りになるんじゃないかと思うんだ。

 

剛田:それで今月の営業成績が達成する確信があるか?

 

野比:あるとは言えない。だけど、これまでの流れで解決方法を模索するのではなく、もはや問題そのものが違うと感じているから、提言をしたんだ。

 

剛田:野比が今月の結果に責任を取るならば、進めたいように進めばいいけど、俺は違うと思う。

 

野比:話を中断させてすまない。今は剛田の考えるように話を進めてくれればいいよ。

 

剛田:では、それぞれの進捗と課題、検討している対策について報告を述べてもらおう。

 

以下略。

 

 

議論を集約的に進行させ、時間を効率的に使おうとする剛田の丁寧な既定路線を守ろうとする姿勢については、一定の評価はします。

しかし、野比の発言に対して本題の内容に則した意見ではないと判断し、反射的に否定してしまうことについては再考の余地があるでしょう。

 

これまでの会議の形式がそうであったこと、そしてこれからもそれが正解なのだろうと、意識的無意識的かは不明ですが判断していることが窺えます。

 

 

上記の会議の目的は合意形成であり、成果に向けた次なる行動を約束しあう意思疎通の場であることは理解しています。

 

ただし、時代錯誤な「昭和」的な風潮が感じられないでしょうか。

 

 

では、どのようにすれば建設的な会議が進行できたでしょうか。

 

続く【後編】では、建設的な会議のための具体的な方法と、普段から気を付けるための未然策をお伝えしたいと思います。

 

固定観念の呪縛をひも解くカギは、世代を超えた人気アニメキャラクターの正体にあり!【後編】へ。

 

参謀 青木 永一

 

 

 

このコラムの著者:

参謀青木 永一

参謀の特長
ベルロジック株式会社 代表取締役 経営学修士(MBA)メンバーの中でも、異色の経歴を持つ。 前職は、事業者向け専門の「ナニワの金融屋」であり、30代後半までの15年間の経験の中で、約500社を超える倒産と間近に関わってきた。 自称 マネジメント数学研究家(暇さえあれば、ビジネスと数学の交わり方をユーモアたっぷりに伝える工夫をしている)。